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2010年6月26日土曜日

エキスパートの気管挿管

このブログで医学書について書いたことがなかったような。
久しぶりによい買い物をしたので、紹介したい。

「エキスパートの気管挿管 ― 中外医学社」と言う教科書が最近発売されたが、タイトルどおり、1冊丸々気管挿管のための教科書である。マニアックといえばそれまでだが、「ただ挿管するだけ」以上の技術・知識を求められる麻酔科医ならば必読の内容といえる。

少し前に「挿管困難対策手技マニュアル」という教科書が洋土社から発売されたが、そちらでは主にトラキライトやAWS(エアウェイスコープ)、それらを用いた意識下挿管が取り上げられていた。そちらも非常にためになる教科書だった。

私が今回「エキスパートの~」を購入したのは、苦手な分離肺換気に30頁も割かれているためである(しかも著者はH先生)。分離肺換気の章だけでも素晴らしい内容だが、そのほかにトラキライト、AWS(エアウェイスコープ)、FOB(気管支ファイバー)、LMA(ラリンジアルマスク)、小児での挿管についての各論があり、どれも濃厚な内容。勿論、総論で困難気道対策についても書かれている。

最近まねしてやっているのがAWSの「パイルダーオン法」(AWSの長いハンドルが胸郭等に当たってしまいイントロックがを口腔内に入れにくいときに、先にイントロックだけを入れ、その後本体と接続する方法。詳しくは本文の84-85頁参照)。先日、この方法で動揺歯牙患者の歯牙損傷を避ける事ができた。

著者それぞれの哲学と、その根拠となる引用文献、極めて実践的な内容。明日から真似したくなる小技も多い。DVDもついており、非常にお買い得である。