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2010年8月17日火曜日

真夏の夜の夢

接客中に寝ていたら恐らくクビになる(もしくは厳重注意を受ける)だろう化粧品売り場の女性と、麻酔中に一過性に意識消失していても有害事象が起こらなければクビにはならないだろう私。

「やりたいことは全部やれ!」という大前研一氏の著作タイトルが天啓のように頭に浮かび、つい引き受けてしまったStanford Aの大動脈解離の緊急手術麻酔。昼間1日心臓外科麻酔をした後だったので(緊急の話があった時点でもまだ手術は進行中だった)、やりたいようなやりたくないような。或いは自分の体力・気力と相談してきちんと責任をもって麻酔をかけられるのか…という複雑な感情ではあったが、大動脈センターでもない当院において、自分が元気いっぱいの時にStanford Aがくるのを待っていたらいつになるのか。真夜中に輸血をポンピングしていると何故か自分の麻酔科医としてのやる気がふつふつと湧いてきた。きっと手術中に輸血の手を緩めていいかどうかの判断は麻酔科医が他のどんな科の医師よりも得意とする仕事。やる気いっぱいのY先生に助けられて無事に患者さんをICUまで移送することができた。多くの人に感謝した貴重な1日になった。ありがとう。

どこかで自分の持ってる知性的な、あるいは身体的な資源の限界を知って、それを優先順位の高いものから順番にうまく配分するということも覚えなくてはいけません。可能性は無限であると信じている人がいます。たくさんいます。でも、それは勘違いですよ。(内田樹 - 疲れすぎて眠れぬ夜のために p12より引用)

外は38.2℃(2日続けて38℃超!)だったが、皆さんの計らいにより今日は1日休ませていただいた。自分の影響の輪から逸脱しないように、組織や患者さんに貢献できればいいのだろう。