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2010年8月21日土曜日

元ちとせ ― Orient ~ここにもある1つのヒロシマ

曲名を見て旋律を想起できたのは「なごり雪」だけだったが、鹿児島県大島郡瀬戸内町(奄美大島)出身の、およそ雪には縁がなさそうな方が、この曲を唄う(謡う?)とどうなるのか興味があって手にとった。

元ちとせはメジャー1枚目のアルバム「ハイヌミカゼ」(2002年)くらいしか、きちんと聴いたことがない(3曲目の「ひかる・かいがら」が1番のお気に入りである。山崎まさよしが作曲していたことは今日初めて知った)。

彼女の歌声ではどんな曲を唄っても、彼女色に染まるのは多くの人々の想像通り。小林旭の「熱き心に」や、森山良子の「遠くへ行きたい」等、幼少期に父の車で聞いた記憶がある曲もあり懐かしい感覚を覚えた。

本作のハイライトは初回限定盤のボーナストラックである坂本龍一氏プロデュースの#11「死んだ女の子」(Nâzım Hikmet(ナジム・ヒクメット)作詞、外山雄三作曲。YouTubeで視聴可能)。ヒロシマを歌い上げたこの曲が入っているために、アルバムの発売日が8月4日と「原爆の投下日」に近くなったのだろうか?それはさておきこの曲が本作の全ての感動を持っていってしまっている。歌詞の良し悪しで歌を聴くことは殆どない私だが(歌詞がどんなに酷くても曲がよければ聴いてしまう)、こういう歌詞でこういう旋律が乗っかり、こういう歌い手が歌うのは反則である。数回聴いただけであるが、既に私の人生において、例え認知症になったとしても、容易には忘れられないであろう歌の1つとなった。

昨年の夏、広島を旅した時の、あの真夏の熱気を思い出す。