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2010年10月29日金曜日

(本) 20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ ― Hiroyuki Hal Shibata という本がありまして

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iPhone、Kindle、Audio Book、Twitter、Lang-8、レアジョブ、PASORAMAといった最先端の電子機器やWeb Serviceを英語学習に活用!
帰国子女でもない日本人がTOEIC860点を取得し、英語で「聞く」「話す」「書く」ことができるようになる方法を紹介。
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とAmazon.co.jpで本書は紹介されています。自己研鑽に余念がないビジネスパーソンを読者対象としているのかもしれません。でも、できるビジネスパーソンたちは既に英語自体が学習の目的ではない筈でしょうから、このような本を読んで努力している時点で、何かに負けている気がしないでもありません。それでも何もやらないよりはマシなのでしょうか。
私は英語学習において完全に落伍者ですが、本書はそこそこ英語学習する気がある人々のやる気レベルを数倍に押し上げてくれる可能性がある本です。非常に実践的な本です。やる気はあるけど何をやっていいのかわからない、という「先達あらまほしきものたち」は、本書で紹介されている方法いずれかを試せばいいと思います。
私は読了後に本書で紹介されている「大学入試向けの英文法本」や「iTunesで購入できるオーディオブック」を購入して人生で何度目かの英語学習をしてみました。電車での通勤時間に主に活用していますが、どうやっても寝てしまいます。自己啓発の古典「人を動かす(原題:How to win Friends & influence people)」の英語朗読は、私にはプロポフォール並の強力な入眠剤にしかなりませんでした。
紹介されている中で簡単かつ面白いのはiPhoneの[App Stroe]で購入できる「Google Mobile App」です。このアプリを使うと音声検索ができます。そのためiPhoneに向かって自分の英語の発音が正しく認識されるか独りで確かめることができます。私は何度iPhoneに向かって「catheter」と言っても「jessica」と認識されてしまい、げんなりしてしまいました。他にも「vanilla」が「banana」と認識されたり「sit」が「shit」と認識されたりと、英語学習をやる気を無くさせるに十分なアプリです。
このように英語学習が進まずにお金ばかり浪費されるのは、結局のところ、興味と差し迫った危機感がないからでしょう。
・社内の公用語が英語になった
・英語ができないと管理職になれない
・日本人でなくてもできる仕事は、人件費の安い国の優秀な人たちにアウトソーシングされていく
等々。それらの事実や報道や主張や妄想に四面楚歌な私。英語ができないという理由で、私のような英語ができない麻酔科医師が将来食いぶちに困るほどの貧困に追い込まれる可能性を妄想するたびに眩暈がしそうです。本書はそんな私の眩暈と劣等感を増悪させるに十分な力を持った本(つまり、やる気を出させる素晴らしい本)でした。人間もほかの動物と同様、死に物狂いでもがいて生きないと、淘汰されてしまうのでしょうか。