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2011年4月30日土曜日

(音) Golden ResurrectionのGlory to My King (2010年)

インヴェイマルムスティーンが確立したネオクラシカルサウンドへのオマージュともとれる、ネオクラシカルメタルの基本を忠実に守った正統的な歌モノアルバム。全編熱いヘヴィメタルだが、#3「Glory to My King」と#5「The Final Day」は鋼鉄を愛する魂の持ち主ならば、涙を流して高揚感に包まれることが間違いない程度に名曲である。私には他の曲はピンとこなかったのだが。

2011年4月29日金曜日

(音) EGO-WRAPPIN' - ないものねだりのデッドヒート (2010年), ASAへabstract

熱心なファンではないのだが、「色彩のブルース」1曲だけで、私の中では殿堂入りのバンド。このアルバムは7枚目らしい。

暫く前からアルバムをiPodに入れていたのだが、聴きはじめるといつも2,3曲目で挫折していた。研究室で実験に失敗し、やり直しをしていたら随分遅くなってしまい、帰路で人身事故による電車停止に見舞われたため(木曜日の話)、近くの喫茶店に入ったところ何故か喫煙席しかなく、ヤニの香る中で勉強している23時過ぎのビジネスパーソンたちを横目にしながら、改めて聴いてみた。

#4「BRAND NEW DAY」が素敵なくらいに名曲だったことに今更気付く。お祭りのような歌謡曲?実験も失敗してみるもんだ(といいつつマイナートラブルは既にいっぱい繰り返しているが)。

***
実験、講習、麻酔当直、家事、電車移動の合間にコツコツ改訂してきた抄録を、やっとのことでASA annual meetingに提出。dead lineは5月2日だから本当に直前になってしまった。これで、来月の麻酔科学会総会用のポスター作成に本腰を入れられるってもの(まだ出来てないなんて!本当にunbelievable happeningである。そのためパソコンのデスクトップに「自動カウントダウン計」を設置してみる。1/1000秒まで表示されることから来る圧迫感は尋常ではない)。
締め切り直前にも関わらず、改訂指導してくださったN先生に感謝。英語のabstractなんて書けるんだろうかと疑心暗鬼だったが、チクチク英語をいじっているうちに、いつの間にかそれらしくなるもんだ。やはり先達あらまほしきものなり。採択される可能性は低いと想像するが、出さないことには100%採択されない。今回は演題の提出方法が分かっただけでも勉強になった。
6月1日には結果が分かるようなので、懸賞にでも応募したつもりで待ってみることとする。

しかし万が一、万が一、採択されたとして。
専門医試験:9月30日-10月2日
ASA annual meeting:10月15-19日
なんだけどな。

最近の私、ちょっとしたケイアス状態である。コツコツやることにしよう。

2011年4月28日木曜日

(本) 言い訳にサヨナラすればあなたの人生は輝く ― ショーン・スティーブンソン

・個人的レベルで患者と向き合おうとしない医者は、たとえ医学的な過失がない場合でも、医療過誤で訴えられる傾向にあるそうだ。(p91)
・本当の心のふれあいをするということ ― 人とだけでなく自分自身とも ― が、言い訳を撃退するための第一歩なのである。(101)
・修行を積んで自我から解放されたヨガの達人ではないかぎり、人は言葉によって傷つく。言葉には感情が含まれている(107)
・Fear is "False Experience Appearing Real".(現実のように見える架空の経験である)
・「でも、・・・・もし・・・したらどうしよう」は時間と感情とエネルギーの時間の無駄なのだ!完全に時間の無駄である!!!
それにからめとられそうになったら
「自分の不安が見当はずれだったらどうなるのだろう」
「最悪の場合でなく、最善のシナリオが実現したらどうなるだろう」
弁解行為は単に、自分が直面したくないものを隠すためのカモフラージュに過ぎない(p128)

言い訳にサヨナラしていない私だが、この本を読んでもあまり得るものがなかった。もうそろそろ自己啓発的な本で、何かのパラダイムシフトが起きることを期待するのは止めた方がよいのかもしれない。本や他人の文字から何かを得ようとしているうちは、自分の頭を使っている振りして、これっぽっちも使っていないかもしれない。問題に対する解答、ではなく、何が問題なのかを考えるようにしよう。自分の関心に集中することにしよう。

***
それはそうと、iPhoneで見やすいように、blogの設定を変更してみた。
しばらく使ってみて、使いやすいようならこれで行ってみようと思う。

しかし何故やることがあればあるほど、やりたいことが増えるのだろう。

***
「ライフサイエンスオンライン辞書サービス」は以前から時々利用していたが、「Web LSD」で調べたい単語を入力→「英語共起表現」をクリックすると、「その単語が英文中でどのように利用されているのか」の例が、たくさん出てくる。
例えば「essential」と入れると300文並べてくれる。
正しい使用方法かについては必ずしも判別できないが、前置詞の使い方については結構いけそうである。

2011年4月27日水曜日

(雑) 45.33%

私の住んでいる練馬区の今回の選挙の投票率である。

ちなみに4年前の”平和だった”時の投票率はというと47.22%である。

これが何を意味するのかはよく分からないが、憲法第15条に定められた権利を自発的に放棄する人が、投票権を持つ20歳以上の人のうち半分以上いるということを示す。

世論調査では、8割以上が与党を支持していないようだが、支持していないからといって、対立候補に投票するわけでもなく、選挙権を行使しないという行動を取っているようだ。

多数決。みんな結構好きなはずなんだけど。
職場で自分が休んじゃった日に大事な決定があって、翌日職場に行って同僚から
「あ、そういえばあなたね、来月から給料3割カットされるってさ。昨日の話し合いで決まったの」
と言われれば、多くの人が怒るに違いない。
選挙ってそれと同じ様なことが、起こっているんだけど。(勿論ひとりひとりの市民には分かりにくいように、狡猾に税金の調整を、為政者はするわけだが)

地震に対する政府の対応に納得しないのならば、テレビの前で文句言ってるだけじゃなくて投票したほうが良い。と思う。投票できるのにしない人たちが、もし投票しない理由を「よくわかんないし誰に入れても同じでしょ。まぁ、投票する人たちがいるんだから、その投票結果に乗っかります」と、他力本願そのものに口走ったとしても、私は別にそれはそれで構わない。
今回の投票率を見て、やっぱりこのような大震災時でも、多くの成人にとって政治は他人事なんだなと思っただけ。それと同時におそらく、この他力本願なところが、この島国のよさでもあるのだろう。

2011年4月26日火曜日

(麻) TEEの安全性

Progress in Perioperative Echocardiography: Focus on Safety, Clinical Outcomes, 3-Dimensional Imaging, and Education(Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia)
をぱらぱらと読む。Google Scholarの「アラート機能」は本当に便利である。キーワードを登録しておくだけで、受動的態度でも論文がメールとして送られてくるのだから。


・n=80の単一施設研究では以下のように、TEEプローベ挿入時に、喉頭鏡を使用することで合併症が減少。
odynophagia (嚥下痛。2.5% v 32.5%, p<0.05)
oropharyngeal mucosal laceration (5% v 55%, p<0.05).
・10000例以上を解析したオーストラリアの研究では胃食道穿孔は1/1000の頻度。穿孔した際の死亡率は21.4%。


他にも色々興味深いことが書いてあるが、上記のような記述を見るたびに、盲目的なTEEプローベ挿入はあり得ない、という思いを新たにする私。だが、培養dishの腫瘍細胞と睨めっこする毎日のため、TEEをやる機会も激減している。JBポッターの資格を、もしかすると返却しなければならないのではないかと、びくびくしている今日この頃である。

しかし、培養dishの癌細胞はなぜ細菌や真菌に負けてしまうのだろうか。sepsisになった患者さんの癌が消えた、なんて話はついぞ聞いた事がないが。

2011年4月25日月曜日

(本) はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 - 前野正夫・磯川桂太郎

本書を購入するに当たり、「Molecular Biology of the Cell」の日本語版が大学の生物学における指定教科書だったことを思い出した。20000円もする教科書自体にびっくりした気がするが、それにもましてびっくりしたのが、あまりの詳細な記述と、日本語版にも関わらず、その意味がちっとも分からなかったこと。
今思うと、本書のような初心者向けの教科書を"The Cell"とは別に求めるべきであった。そうすれば大学に入って、はじめての生物の試験で赤点を取らずにすんでいたかもしれない。

ということで、本書は知識の棚作りに非常に役立つ1冊。数日で十分通読できるだろうから、その後に"The Cell"を読めばよいのだろうと思う。私にはもっと回り道が必要だけれど。

と、同時に購入した「好きになる分子生物学」(萩原 清文、講談社)も分子生物学の知識の棚作りとしては非常によくできた本。これほど分かりやすく書くためには、よっぽど深く物事を理解していなくてはならない、ということが深く心に染み入る作品。

2011年4月24日日曜日

(雑) 区長選挙・区議会議員選挙

区長選挙、区議会議員選挙の投票に行く。
自分が住んでいる町にも拘らず、誰が政治をしているのか分からない。
そのため投票に向けて、試験直前の学生のように、詰め込みで立候補者についての知識を仕入れる。
しかし、よくわからない。
どんな美辞麗句が公約に掲げられていても、それが実行されるかは分からないし、今回のような大災害が将来また発生したときに、「かつて掲げた公約」をさっさと撤回するくらいの潔さを、その候補者がもっているかどうかなど、どれだけネット其の他で情報をかき集めたとしても、分からない。

分からないが、掲げていない公約を実行してくれるような人はいないだろうから、書いてあること、主張してあることを目安にするしかない。

皆、何を根拠に投票をしているのだろう。たった一票だが、苦悩する。
投票しないという選択肢もあるだろうが、そうなると全立候補者にうす~く投票していることになる。例えば3人立候補者がいれば、自分の1票が、3人に0.33票ずつ入る、ということになる。
たった1票だが、自分と全く相容れない主張をしているような人に、その票の一部分でも入れるべきではない気がする。

2011年4月22日金曜日

(麻) ひとしれずHelter Skelter


といってもThe Beatlesと、今回の記事は全く関係ない。

私は音楽は好きだ。だが、自分の手術技術が標準に達していない(であろう)状態の術者が「何か音楽お願いします」と、外回り看護師さんにお願いするような場に居合わせたくない。術者にはゾーン(超集中状態)に入っていただきたいと、全く身勝手ながら思っている。上手くて早ければいくらでも何でも聴いていただいて構わない。だが、「さとうきび畑」が流れていても、「Phobophile」が流れていても、耳に入らないくらい集中してもらいたいのである。
手術は1分でも1秒でも早く終わった方がいいに決まっている。麻酔導入後、いつまでたっても手術が始まらないなど言語道断である。(私はいいけど、いやよくないけど、無駄に麻酔薬を使用される患者さんの身になっていただきたい、と偽善者ぶってみる)

それはそうと「手術がいつまでも続かないかな~」と願ってしまうときがある。

術中の血圧変動が激しいときだ。血圧が高めで続くのならばよい。もともと高血圧+糖尿病+慢性腎機能障害の患者さんならば血圧は高めの方が安心。
だが、硬膜外麻酔+remifentanilで鎮痛を図っているにも拘らず、皮切から腹膜切開にかけて血圧がぐんぐん上がっていき、侵襲が落ち着くと安定し、切開をちょっと広げるとそれに伴い血圧が上昇し、侵襲が落ち着くとまた一定の状態に落ち着き、腹腔内洗浄時にまた上がり、腹膜縫合時にまたぐんぐん上がり、というような状態である。私はよっぽどのことがない限り、硬膜外カテーテルを挿入した後、カテーテル挿入部位を中心に冷覚低下が見られるかを確認(所謂コールドテスト)することにしている。そのテストで、冷覚低下が、侵襲がおよぶ予定の範囲に見られているにも拘らず、上記のようなバイタル変動が起こるのである。しかもremifentanil0.3-0.5γ程度併用しているにも拘らず、である。
このような場合、患者さんの瞳孔が縮瞳しているのを何回も確認し、血糖値もいつもよりこまめにチェックして、浅麻酔のせいで高血糖になっていないかをしつこく確認する。そして痛いのかよ~あ~あ週1しか麻酔してないから罰があたったのか、とか、未治療の褐色細胞腫か?、とか、もしかしてアルチバにケタミンが混入されてるのか?、とか、カテ先は皮下組織か?だったら「コールドテストはOKだったが、実は効いていなかった硬膜外麻酔の1例」で症例発表しようか、できるわけねーよ、とか、buckingしませんように、そうだいつもよりちょっと筋弛緩を多めにしとこう、とか、患者さんが目を覚ました後に痛がったらどう言い訳しよう、あぁこの外科医たちと仕事するの初めてだよ患者さんが痛がって暴れたら気まずいなー術中も愛想よく振舞っておくか~ラポールは大事だ大事、でもあと数時間でラポールを築いてもぶち壊れるんだろうけど、とか、硬膜外が駄目ならiv-PCAにするか、でも硬膜外カテーテル入ってるしポプスカインにフェンタニル混ぜちゃったよiv-PCAにするとしてもどんだけフェンタニル入れるんだよ、「エピ(硬膜外麻酔のこと)の効きがいまいちですね~」とかいってフェンタニルをちょっと静注して落ち着いたらあとは病棟に丸投げするかとか、あぁでも上腹部切開だし痛かったら絶対SpO2下がるよな、とか、大量出血して大量輸血するような超長時間手術になって「麻酔の先生、すいません本当にご迷惑かけて」なんて言われながら、「じゃぁ一晩様子見ましょう」としれっと言って抜管せずにICUGo!、って話にならないかなーとか、本当に麻酔科医としてお天道様に顔向けできないような妄想ばかりが頭の中にぐるぐるまわるのである。

だが手術が終われば麻酔から覚醒させるしかない。恐る恐る(勿論remifentanilは切らずに0.05γ流しながら)麻酔から患者さんを起こすと、患者さんは目をぱちくりさせてけろっとしている。抜管基準を全て完璧に満たしているので、術後のレントゲン撮影の5分後には抜管できてしまうのである。
ん?おかしくないか?なんで痛がらないんだよー!?
Remifentanilが残ってるせいか?と思っても、ベッド移動の体位変換でも顔をゆがめない。10分、15,
20分見ても。しっかり深呼吸できるのである。

痛がらないなんておかしいだろ、なんであんなに侵襲に応じて血圧上がってたんだよ、とカテコールアミンが過剰に分泌していたのは自分だけだったのか、と腹立たしいやら何やら。
本当に血圧の変動だけでは痛みがあるのかないのかわからない。

ということが、毎日の麻酔の中ならば、その衝撃も希釈されるのだが、週1回程度の麻酔で、毎週あったらたまらない。

2011年4月20日水曜日

(雑) 土壌をつくれば

震災の復興資金不足に対応するために、消費税を増やしたいらしい。

増やして復興の支援になるのならば、特に反対はしない。
だが、増税→  →  →  →  →復興支援
の途中の過程が見えない。
少なくとも1日1,2時間もメディアに接している筈だが、どこからも聞こえてこない。

どうせ消費税率アップを語るなら、「議員報酬は○○%カットします」という前口上があれば、多分国民の受けも大分違っただろうに。

今になって政権への批判は高まり続けているが、「初期対応が遅い」という批判をする人たちには、どう返答すれば納得してくれるのだろうか。
これだけの大被害をもたらした災害に遭遇した人は、今生きている人の中には殆どいない筈である。だから「初期対応の遅さ」の意味が、批判者の感覚的なものなのか、それとも歴史上の記載に見る関東大震災への対応と比べてなのか、阪神淡路大震災と比べてなのか。ただ、不満をぶつけているだけの可能性もある。

この1ヶ月の為政者の努力が足りないと思うところは、数字で示すべき説明時に、具体的な数字を説明の根拠として出さないことと、国民を勇気付けるような熱のこもった言葉を吐き出さないことである。いろいろな現場感覚では便宜的に使われる「念のため」とか「一応」という単語が、不安を増すだけということに気付いていないのだろうか。記者会見時は、アドリブではなく、原稿を準備しているはずなのだが。

伝える努力が足りないのである。
一生懸命やっているだろう。多分。「一生懸命やっています」と繰り返し語るよりは、○○は何ヶ月掛かる。それは△にこれくらい、□にこれくらいかかるためである。というような具体的な行動目標が出てくれば、それが「彼らの一生懸命さ」をあらわす指標になる筈だ。どんなに対応が遅かろうと、やる気が(きちんと相手に伝わるような)言葉に出ていれば、もう少し、先の選挙でも票が獲得できていたのではないかと、思ってしまう。

尤も、普段から、自分の真意を隠すかのような答弁に終始していたのだから、すぐに変えられないのは仕方ないことである。しかも、具体的な言葉を吐き出して、それが守られなかったときには、メディアも国民もすぐに怒り出す始末だし、不信任決議案や更迭の憂き目にも遭いかねない。だったら下手な約束はしない方がいいのかもしれない。
ただ、いろんな批判者が、対案なく批判していることを考えると、政権担当者は、そのような言論に屈してはならないのではないかと思う。やること為すこと合っていようが間違っていようが、行動しないことに劣る決定は、今の時点ではないだろうから。

2011年4月15日金曜日

(本) 科学者という仕事  独創性はどのように生まれるか ― 酒井邦嘉

当直室で美空ひばりの「愛燦燦」を聴く。
今日は久しぶりに呼吸器外科の麻酔。
久しぶりでも体が覚えているものだ。

***

これほど学問への愛に溢れた書に出会えたことは、大変な幸せである。素晴らしい本の、1つの側面には「その本をきっかけにして類書や著者が薦める本との出合い」があると思う。著者が科学者であることに起因するだろうが、本書には参考文献・図書が大変多く、親切に各章末に記載されている。その中にはドイツ語の本もあるが、日本語や英語で書かれているものも多い。本書で引用されている言葉の中で気になったものや、キュリーやチョムスキーと言った偉大な科学者の自伝等にあたる事が出来る。その意味でこの本は、この本自体がもつ輝きを何倍も高めてくれている。読者への愛情にも溢れた本である。

「科学者」だけではなく、およそ学問や芸術に携わる人全てが、読んで何らかの得るものがあると思う。研究者のホンの小さなひよっこになったばかりのこの時期に、出会うことができた私には大切な一冊となりそうである。

まず「どのように研究するか」を十分に体得した上で、「何を研究するか」を考えた方が良い。(p46)

・大学や大学院で始めた研究が、将来のライフワークとなる研究分野と一致したとしたら、それはとても幸運なことだが、そうでなくともがっかりすることはない。その過程で、「どのように研究するか」を学ぶことができたとしたら、それは研究者の卵として最大の財産になるに違いない。(p46)

2011年4月14日木曜日

(研) contamination

48時間培養中だった細胞が、細胞が、細胞が。
全て異物により汚染されていた。
細菌か、カビか。

当然今日やる予定だった実験は中止。細胞たちは即刻破棄せざるを得なかった。
初心者は誰もが1度やること、だそうだが。

合掌。


2011年4月10日日曜日

(雑) 都知事選

都知事選が終わってしまった。
私が票を入れる候補者は、落選することが多い。今回もまた落選してしまった。

3月11日の震災の影響で、広報も街頭演説も、マスメディアでも、殆ど政策討論が聴かれず、見られず。個々の候補者のマニフェストなるものは、積極的に得ようとしなければ得られなかったのが今回の選挙。まぁ民主党が政権をとったことからも分かるように、マニフェストの中身なぞ、多くの選挙民は確認していないのである。単なる知名度、人気投票の結果にしか過ぎない。
こんな選挙ならば、マスメディアに非難されない仕事をしているような現職の知事であれば、選挙戦に有利なのも当然だろう。それにしても「津波は天罰」発言があったにも関わらず、である。メディアに嫌われていないというのは選挙戦においてとても大事なこと。もし首相が「津波は天罰」と言っていたら、この時期でも辞職に追い込まれていたに違いない。

都民が安定を求めた、というのがメディアの論調だが、現職知事は高齢は高齢。高齢だろうがなんだろうが、命懸けで原発事故の任務に当たった人々の前で涙を流して礼を言うような、そんなリーダーならば着いて行きたいと思う人も多かろう。向こう4年の任期を全うできるか、体力の面からみると心配になってしまうが、日本人男性の平均寿命直前の、あの年になっても261万票を集めることができるのは流石である。
そして多くの人から必要だと思われているということは、きっと知事自身のやる気にもつながっているに違いない。人から求められるということは、とても幸せなことである。

2011年4月9日土曜日

(研) インシデント

4月に入ってから羊土社の本ばかり買っている。そのうちの1冊「分子生物学講義中継Part2」を読みながら青梅特快に乗っていると国分寺駅あたりから気分が悪くなる。人の呼出するCO2濃度の影響か。恐らく満員に近い青梅特快の中は、細胞培養のためのインキュベーターの中に近い5%程度のCO2濃度だったに違いない。
因みに大気中の二酸化炭素濃度は0.04%程度。

今日は実験室でインシデントを起こした。1つ工程をすっ飛ばしたために、希釈して細胞に投与すべき薬剤を、原液のまま加えてしまったのである。そのためにおよそ20倍濃い薬剤に細胞が曝露されたわけだが、当然実験はやり直し。そりゃそうだ。ランジオロールだって50mgを20mlに希釈して2.5mg投与したのと20mlマルマル投与したら違う結果になる(多分高度徐脈になるだろう。やったことも人様がやっているのをみたこともないけど)。48時間も培養しておいたのに・・・。まだまだtechnical errorが減らないだろう超ビギナーな状態で、このようなマニュアル確認不徹底でのミスは痛い。おぉ痛い。
ちなみにここではインシデントレポートは書かなくて良いらしい。安堵。

2011年4月8日金曜日

(麻) AKI-CPB

研究室からの帰りの電車で「Cardiopulmonary Bypass–associated Acute Kidney Injury」(Anesthesiology 2011; 114: 964–70)を読む。論文を読むとき、私はどこの誰が書いたか気になるので、著者の所属をまず最初に確認するのだが、「Iowa」と書かれている。アイオワといえばマスク集団の「Slipknot」である。名曲「People = Shit」を大音量で聴きながら読んでみると、


・術前の血清Cr値上昇が今のところ1番重要なAKI-CPBの予測因子。Crが2.0-4.0mg/dlだと10-20%、Cr>4.0mg/dlだと25%が透析を必要とする。
・AKI-CPBの危険因子
 ・患者:高齢、女性、術前腎機能障害、EF<40%、緊急手術、糖尿病
 ・手術:CPB中の血液希釈(Hb 7g/dL, Ht21-24%は最低でも保つべき)、IABP使用、
      弁手術または弁+CABG、長時間CPB(何時間以上が危険かはまだはっきりしていない)
・CPB中の血圧は50-70mmHg程度の施設が多いだろうが、いくつなら腎機能に傷害が起こらないのかは分かっていない
・ANPやNesiritideは腎保護によいかもしれないが、まだデータ不十分。
・予防的RRT(renal replacement therapy)は将来的に有用な選択肢かも。大規模臨床試験によって得られたデータから施行を標準化できるようになれば。
・NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)はAKI-CPBの早期診断に有望かも。


まぁ知識として知っている内容も多いのだが、レジデントに聞かれたときに「むむ、それは分からん」と思ったことが文献的にも「まだデータが不足している」と書かれていると安心できる。ってことがよくある。そういうところから研究のテーマって生まれるんだろうけど。

***
再び麻酔の日当直である。

当直先で運よく当直室でまったりすることが出来たときに、音楽が聴きたくなる(夜中に呼ばれるときのために早く寝ろよという意見もある)。
しかし当直用PHSが鳴ったら迅速に対応しなきゃならないので、イヤホンで音楽は聴けない。ノイズキャンセリングヘッドフォンなどもってのほか(持ってないけど)。というわけで携帯できるスピーカを購入。購入したのはTDKのXa-3602。それなりの大音量でも音割れしない。当直室で聴くにはまぁ十分かも。それほど重くないし。学会のお供にも使えそうである。麻酔を5件担当した後に聴く「Silent Scream of Godless Elegy」の「Pramen, co vi」はまた味わい深いものがある。
1週間ぶりの麻酔。2回目の勤務。手術室の雰囲気に慣れた気がするという錯覚からか、アウェー感が大分減って楽しく麻酔をかけることが出来た。これまでの数年間では、「麻酔一週間ぶり」っていうのは夏休みのときくらいだった。これからは毎回夏休み明けのような緊張感で麻酔をするのか。その適度な緊張感が、わたしの麻酔手技や感を鈍らせずに、注意深く麻酔をする方向に働くのは間違いない。上達が見られるのかは不明だけれど、これは意識次第だろう。研究メインの生活が始まったからと言って、それを麻酔技術の低下の言い訳にはしたくない(といっても多分下がるだろうが、未来のことを心配しすぎても仕方ない)。

2011年4月7日木曜日

(研) ちぇっくちぇっくちぇっく

今日は細胞の培地換えやHoechst染色など。薬液混和等の作業を一通り自分の手でやらせてもらった。ピペットで測る薬液量も2μlだったりするから、麻酔のとき以上に目視が大事である。ピペットのチップ先端が薬液に接触していない状態でピペッティングして「吸い上げたつもり」になったり、微量の薬液を96ウェルプレートに移すときにも間違って隣のウェルに入れそうになったりする(しかも間違って入れたらもう絶対分からなそうである)。
薬液を混ぜ合わせてインキュベートすること4時間。その後で画像撮影。撮影装置の場所に行く道中でつまづいたら、苦労して作った「マイ96ウェルプレート」を床にぶちまけ、それまでの何日間が無駄になるのである。
麻酔ほど気を遣う仕事ってあんまりないだろうな・・・と思っていたが、全くそんなことはなかったことに気付いた1日。

2011年4月6日水曜日

(麻) caudal anesthesia (仙骨硬膜外麻酔)


実験の合間に仙骨硬膜外麻酔の復習。専門医試験の実技試験の過去問にも出題されているようなので、見ておく。これまで小児の仙骨麻酔は殆ど経験がなかったが、新しい職場では時々必要になるようなので、実利もあるというわけだ。過去問というのは厄介で、そのまま今度も出るとは限らないが、出たら出たで「何でチェックしてないの?当然押さえるべきでしょ。受験生のマナーでしょ」と出題者・試験官に突っ込まれても文句1つ言えないものなのである。あーあ。

***
・適応:20kg以下の小児を対象とした臍以下の手術であれば、ほとんどのものに適用が可能。
・右利きなら左側臥位。昏睡位に近い体位で。

@解剖と手技
・硬膜嚢は成人―第2仙椎、新生児-第3~4仙椎まである(48A59)。仙骨裂孔は16×20mmくらい。奇形が多い。
・硬膜外腔まで1歳なら10mm、小児なら15mm以内、50kg成人なら16mm (年齢に関わらずほぼ一定)
・仙骨裂孔より1センチくらい尾側から、45度程度の角度で刺入。
・局麻の注入速度と麻酔の広がりは関係ない。

・穿刺針には通常の23G注射針を用いてよい。
・1%lidocaineを1ml/kg。全麻併用。0.125%~0.25bupivacaine0.51.0ml/kg投与により、長時間の鎮痛が期待できる。ropivacainebupivacaineに比べ、心毒性、中毒性、神経毒性が少ない。

@必要な麻酔高
・精巣固定術:Th8、鼠径ヘルニア、陰嚢水腫:Th10、下肢手術:Th12、肛門・直腸手術:L4

@合併症
穿刺時の出血、尿閉、下肢筋力低下、血管内誤注入による局麻中毒・痙攣(67歳までは解剖学的に仙骨管組織が粗なため局所麻酔薬が拡散しやすい。体液コンパートメントが成人に比べ細胞外液より多い点から、局所麻酔薬中毒になりにくい。血管内注入は投与量が多いために、手技施行中に痙攣が起こる→ベンゾジアゼピンを投与して痙攣をとめ、呼吸管理をする)、脊髄くも膜下麻酔、感染、穿刺部の痛み、神経麻痺、骨髄内投与(静注と同等な影響を及ぼす)

***
今日は入学式&ウェスタンブロットの方法についてレクチャーしてもらった。論文でよく見るあの黒いシマシマである。あれを出すために、どれだけ大変なのか、ということが、昨日今日でほんのちょっぴり分かった。今後、自分一人でやるんだよなぁ。どれくらいやったら「結果が評価に値するちゃんとしたもの」になるんだろう。ゲルの作成から泳動、写真撮影までの長い長い行程で、間違えない方が難しい気がする。臨床麻酔では、間違っていたらすぐ直せたし直されたけど、これは・・・。まぁ今は1つ1つ学んでいこう。学んでいくしかない。

2011年4月5日火曜日

(研) GFP


GFPって何だろうって思っていたら。(以下wikiより)
・緑色蛍光タンパク質Green Fluorescent Protein, GFP)のこと
・オワンクラゲ (Aequorea victoria) がもつ分子量約27 kDaの蛍光タンパク質。
・1960年代に下村脩によってイクオリンとともに発見・分離精製された。
・下村はこの発見で、2008年にノーベル化学賞を受賞。
・オワンクラゲの生体内ではイクオリンと複合体を形成している。
・細胞内カルシウムを感知して発光するイクオリンは、単体では最大蛍光波長460 nmの青色だが、オワンクラゲの発色細胞内では、GFPがイクオリンから励起エネルギーを受け、最大蛍光波長508 nmの緑色の蛍光を発する(フェルスター型エネルギー転移)。
・GFPの緑色蛍光の発色に関しては、下村の一連の研究により提唱された発色団の分子構造モデルをもとに、10数年を経て1990年代になって発色団の分子構造が確認された。
・GFP分子内での発色団の形成には自己脱水結合のみで充分であり、酵素など他分子の助けを必要としない。

ノーベル賞の報道に触れたとき、オワンクラゲって単語だけが頭に残ってたけど、今になって身近なものになるとはなぁ。


研究室3日目。分からないモノだらけだった実験室も少し、ほんのすこ~しだけ何がおいてあるか分かるようになってきた。しかし実験で使う試薬名が全然覚えられない。どんな作用があるのかも分からない。しかもどのような危険性があるのかすら実感としてよく分からない。この「実感があるかないか」っていうのが、いかに自分の精神衛生を保つのに重要なことなのか、よくわかったこの3日間(つまり近頃、精神衛生があまりよくない)。昼ごはんを食べながら専門医試験の問題集を解いているとなぜかほっとする。

取り敢えず、通っているスポーツクラブの会員資格を休日だけにしてもらうことにしよう。平日に当直がない生活では、当直明けもない。即ち営業時間内に走りに行くことは不可能なのである。

(音) Symfonia ― In Paradisum (2011年, Sweden)


Brasil出身のmetal vocalist であるAndre Matosのヴォーカルを聴くのは、実に「Fireworks」(1998年)以来。私はあのアルバムの3曲目「Lisbon」を14年に渡り愛聴しているため、高音域で不安定になる彼の歌声に魅力を感じていた。

時が経つと人は変わるもの。
前情報なしに聞くとこのアルバムで歌っているvocalが「Lisbon」の彼と同一人物とは、私には思えない。上手く歌えている。だが、それにがっかりしてしまった。
#3「Santiago」はこのアルバムでは1番疾走していて即効性のあるkiller tuneなんだろうけど、その即効性の故か、歌が上手くなってしまったためかあまり響いてこない。それよりもslow balladな#4や#10、#11(bonus track)に惹かれてしまう自分がいる。
title tuneの#7なんかはいかにもTimmo Tolkiな曲だし、#9はStratovariusの「Hunting High and Low」を希釈したような曲。ということで#1や#3、#5を聴いてガッツポーズなStratovariusやAngraやSonata ArcticaやHelloweenのファンは聴くとよいアルバムだろうと予想するが、私にはイマイチ残念な1枚でした。メンツからはもうちょっとよいものを
期待したのだが。あーあ、Stratovariusのアルバム「Infinite」でも聴こうかな。

赤が速い曲、青はballad。
1. Fields Of Avalon
2. Come By The Hills
3. Santiago
4. Alayna
5. Forevermore
6. Pilgrim Road
7. In Paradisum
8. Rhapsody In Black
9. I Walk In Neon
10. Don't let Me Go
11. I will Find My Way Home

2011年4月3日日曜日

(音) Within Temptation の The Heart of Everything (2007年)

新譜「The Unforgiving」を聴いたので、ついつい昔に戻って1枚聴いてしまう。
このアルバムの凄いところはベストアルバムか?って思う位、どの曲も歌メロがとんでもなくよいところ。切なメロディの歌謡曲が好きな日本人に向けてわざわざ作ったんじゃないか、と思う程の聴きやすさ(逆に聴き込みが不必要なくらい飽きやすいかもしれないが)。この取っ付きやすさはヴォーカルが女性なのも影響してるんだろう。

オーケストレーションたっぷりな#1「The Howling」で幕を開け、パワーメタルなデュエット歌謡曲#2「What Have You Done」で早くもお腹いっぱいになり、バラード#3「Frozen」を挟んだら荘厳なオーケストラをバックに大合唱する#4「Our Solemn Hour」で意気高揚。壮麗かつ歌メロの扇情力が半端なくパワフルな#6「Hand of Sorrow」はアルバム前半の山。バラード曲#9「All I Need」を挟んで、本作1番の山#10「The Truth Beneath the Rose」は墓場までもって行きたい曲。

新作「The Unforgiving」でポップ化したか?と思っていたけど、このアルバムも十分ポップな売れるサウンドだったことに気がつく。

2011年4月2日土曜日

(走) a postcard

一通の葉書が届いた。
今年も7月に福島県二本松市で行われる予定だった「第42回東和ロードレース」が中止になったと。

地震の影響でコースの一部が損壊したことも原因の1つらしい。

このような中で、葉書を出すために、多くの人の努力があったのだろう。
恐らく葉書の送り手の中にも、大きな被害を受けた方もいたであろうに、と思うと以下の一文が、私の涙腺を緩ませるのであった。

東北地方太平洋沖地震の被災地の皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をご祈念申し上げ、略儀ながら本大会中止のお知らせに代えさせていただきます。

(雑) premiere

当直明け。今日から研究室生活。

・・・の前に医局に立ち寄ると、自分のボックスに、2か月半ほど前に出版社に送った原稿のゲラが入っていた。peer reviewのない商業誌のため、何を書いても基本的には内容を直されない(直してくれない?)ものである。完成までに5ヶ月弱を要した作品だったのだが、引用文献の中に「どうしても、現時点では引用してはいけないだろう著者」が入っていたために、やむなくその辺りを中心に校正することにした。勿論出版社の方では、その辺りまではチェックが入っていなかった。

そして研究室。
話されている言葉が日本語なのに日本語ではなく感じたり、実験手技をデモンストレーションしてくれたのにも関わらず、いざ自分がやってみると、余りの動きの悪さに感動したり。
生まれて初めて、オーベンに指導してもらいながら中心静脈カテーテルを挿入した数年前のことを何故か思い出した。一刻も早く上達せねば。初めてだから出来なくて当たり前っていうのが許されるのも20代までの気がする。

2011年4月1日金曜日

(雑) I'm finally free...


気合一発4時半に起き、新しい勤務先へ旅立つ。
そして1日の予定手術の麻酔管理が終了。最近では稀に見る疲弊。へとへとである。慣れた職場でどんな重症患者さんの麻酔をするよりも、知らない人だらけの中でかける鼠径ヘルニア根治術の麻酔が、どんなにstressfulなことか。頭では分かっていたが、実際体験してみると、私のような小心者には堪えるのであった。
麻酔専門医・指導医が麻酔の導入に立ち会って下さるのなんていつ以来だろう。初めて一緒に仕事をする先生方なので、何か駄目だしされるんじゃないかとひとしきり心の中でビクつく。無言でやってないで、駄目出ししてくださいよ~と思いながらも、幸いなことに大きな問題なく昼間は終了。
一兵卒として麻酔をするのは久しぶり。心地よい疲れがあることも確か。

そして、夜の部。
 振り返ると大学病院以外で麻酔科医として当直をするのは初めて。しかも新しい職場の勤務初日からである。この上ない緊張だが、緊張しても仕方ないので、緊急手術が申し込まれないのをよいことに、これまた新しい(大学院の)ボスから数日前にもらった宿題(論文やら資料)を読む。
 暗号か・・・?読んでも単語の意味が分からない。これ、本当に日本語だよね?今日からは本格的な麻酔は24h/週しかしないので、このblogのタイトルも変えようか。
 
プレ博士の平凡なる日常/又は私は如何にして麻酔をするのを止めて研究室を愛するようになったか

やはり他人の猿真似タイトルはつまらぬ。
もやもやした気分ではありますが、これからもつらつらと書き綴ることにしよう。どんなことでも継続は力なのである。多分。