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2011年10月31日月曜日

(本) 武器としての決断思考 - 瀧本哲史 (星海社新書, 2011年)

大学生が読むと、確かに糧になりそうです。理屈っぽいことを喋る理屈屋さんになるためにはツッコミを適切に入れる力が必要ですね。

***
・問題が大きすぎる場合には小分けにする
・~すべきか否か、で問いを立てる

@メリットへの反論の6項目 
<内因性への反論>そんな問題はそもそもないのでは?
・論題の行動を取らなくても問題は解決する
・そもそも現状に問題はない
<重要性への反論>問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
・質的に重要ではない
・量的に重要でない
<解決性への反論>重要な問題だとしても、その方法では解決しないのでは?
・プランを取っても別の要因が生じるため、問題は解決しない
・プランは問題の原因を正しく解決しない

@デメリットへの反論の6項目
<発生過程への反論>新たな問題は生じないのでは?
・プランだけではデメリット発生にはいたらない(他の条件が必要)
・プランの影響はデメリット発生にいたるには弱すぎる
<深刻性への反論>問題が生じたとしても、たいした問題ではないのでは?
・質的に問題ではない
・量的に問題ではない
<固有性への反論>重要な問題だとしても、すでにその問題は生じているのでは?
・プランを取っていない現状でも問題は起こっている
・プランを取らなくても、将来、同様の問題が起きる   (p138-140)

***
取り敢えず、議論できるレベルにまで問題を細かく刻み、上の篩にかけて、より良いだろう回答を出す、ということでしょうか。これは、患者の状態や外科医の腕、施設の医療レベル、等々を秤にかけて、普段手術室で麻酔科医が無意識のうちに決めていること~A-line入れるのか、硬膜外麻酔やるのか、輸血するのか、手術室で抜管しないのか~そのものですね。この思考法は手術室だけでなく、様々な問題に対して使えるようですよ。困ったときには、頭の中で考えるだけじゃなくて、実際に書きだしてみて並べてみることも重要かもしれません。早速試してみよっと。

2011年10月30日日曜日

(音) ポップで陽気なメタル~Destrageの「The King Is Fat 'N' Old (王様はデブで老いぼれである)」(Italy, 2010年)

「Imaginary Flying Machines」の「Princess Ghibli (プリンセス・ジブリ) 」(2011年)収録、「崖の上のポニョ」は良曲でしたが、あの曲に参加していたDESTRAGE(デストレイジ)のアルバムに漸く到達しました。イタリアのメタルコアバンド。本作は2作目のスタジオアルバム。
この「Jade's Place」のPVは見てるだけで楽しいです(初めて動画を貼ってみました)。ヘヴィなんだけどとってもポップ。演奏のレベルも高い。アルバム収録曲は、この曲以外も総じてレベルが高く、フックのある歌メロ満載。メロディが明るくてとっつきやすいから、もっともっと売れてもよさそう。

2011年10月29日土曜日

(研) 抄読会(made in US)が終わった

太平洋上空で抄読会用の論文読んだり(私だってジム・キャリーが出てるペンギンの映画見たい!)、シカゴのホテルでパワーポイント作成していたのが何故なのか、今となってはよく分かりません。
風邪による嗄声のために今日に延期してもらっていた抄読会当番(in English)が、無事終了。あぁ、よかった。声が出るようになって。こんな事くらいで喜んでる場合じゃないのですが、喜ぶ。
抄読会用の論文を読み始めてから発表できる体裁にするまで、まだ3週間程度はかかることが分かりました。
しかし、引用文献はまるで読めていないし、論文中に出てくる知らないchemokineや受容体やらもGoogleさんや教科書で軽く調べる程度。肝心の発表も、スライドのFigureだけ見ながらスラスラ出来ればよいけれど、読み原稿に目を落としながらというレベル。内容が麻酔で、かつ日本語での発表ならもっと早く上手く出来るんだけどな…。
まぁできていないことを挙げれば切りがない。半年前にはまるで出来ていなかったのだから、進歩しているということにしよう。

(音) 黒夢のFAKE STAR〜I'M JUST A JAPANESE FAKE ROCKER〜 (日本、1996年)

メタルじゃないのですが。

10年ぶり(?)にこのアルバムを聴きました。そして、ここに閉じ込められていた音が、全く古くささを感じさせなかったことに驚きました。高校生当時もCDに無数の傷がつく程に聴きましたが、切れ味抜群の剃刀のようなロックと、歌謡曲のようなポップさがよい次元でミックスされているのが、今も楽しんで聴ける理由かも。
新たな発見としてはシングルだった#3、#6、#14の3曲に、当時感じていた魅力を感じなくなっていたこと。これらはもしかすると、当時の彼らが商業ベースにのっけられて、自分たちが創りたくないものを造らされているような力が働いていたせいなのでしょうか。今の自分にはあまり響かなくなってしまっていました。
逆に、とんがりまくっている#2や#4や#11はやりたい様にやっている、この時点における彼らの真骨頂のような気がします。#4の吐き捨てるような歌い方が(実際に最後には唾まで吐いてますが)実にすとんと腑に落ちるのです。これらの曲は10年前よりも好きになっています。
そして、艶やかなミドルテンポ#7、演歌歌謡な#15、チャイニーズな(?)#16など今聴いてもよい曲ばかりだ。
もうすぐ発売される新譜は恐らく全く異なった方向性になっているに違いありませんが。

1. Noise Low3
2. FAKE STAR
3. BEAMS[FAKE STAR VERSION]
4. BARTER

5. SE I“SUNNY'S VOICE”
6. SEE YOU[FAKE STAR VERSION]
7. REASON OF MYSELF

8. SE II
9. SEX SYMBOL
10. Cool Girl
11. S.O.S

12. SE III
13. HYSTERIA'S

14. ピストル[FAKE STAR VERSION]
15.

16. 「H・L・M」is ORIGINAL
17. SE IV“EITHER SIDE”

(麻) cardiac arrest during thoracotomy

おっかないタイトルは、単に私の妄想です。マイブームでもなんでもなく、最近の私は「術中心停止恐怖症」に罹患しているようです。

あぁ、冠動脈が3枝とも石灰化してる…右開胸術か。
術中に心停止したらどうしよう…と思って簡単に調べると。

・「麻酔 2010 Dec;59(12):1483-6.」では、「左」開胸術中に「動脈管索リンパ節」郭清中に高度徐脈と心停止を起こしている。心臓神経叢(迷走神経分枝)への刺激によるものと推測されている。
因みにエフェドリンとアトロピンと開胸心マで自己心拍再開している。

・「日本呼吸器外科学会雑誌 22: 1027-1032, (2008) 」では
「左」開胸、腫大した大動脈下リンパ節の摘除を行っていたところ,突然,洞性徐脈,心室性期外収縮から心停止に至った.直ちに開胸心マッサージを開始し,エフェドリンを静注したが,心拍は再開しなかった.開胸心マッサージを継続し,エピネフリンを投与すると,心拍が再開した.心停止から心拍再開までは約4分であった.切除術は断念。その後、非閉塞性肥大型心筋症と診断(術前は高血圧と不完全右脚ブロックのみ指摘)され、手術前日に一時的ペースメーカーを留置した後,初回手術から44日目に全身麻酔のみで再手術を行った.特にイベントなく無事終了。
考察で、硬膜外麻酔による心臓交感神経遮断が徐脈・心停止の一因となった可能性?とある。

脱線するけれど、上記論文内で、「臨麻1993;17:521-2.」が引用されていて、
「閉胸式心マッサージにより心肺蘇生が得られたが脳蘇生の点からは不十分であった理由として,HCM のため心臓内腔が狭く,閉胸式心マッサージでは脳血流が十分に維持できないことが考えられている」とあった。
これも臨床上の注意点かな。覚えておこう。

***
ということで、「左」開胸時の方が、心イベントが多く発生するだろうことを再確認しました。だから何なんだ…。

2011年10月27日木曜日

(音) Pain Of Salvation の Road Salt One (2010年)とRoad Salt Two (Sweden, 2011年)


「Road Salt One」について書いた記事を。


私の人生の金字塔アルバムの「The Perfect Element Pt. 1」(2000年)と比べてはいけませんが、7作目のスタジオアルバムとなる本作「Road Salt One」は、過去の作品に比べたらプログレッシブ・メタルの要素は控え目で控え目で控え目で全然違うバンドなんじゃないか、という批判も飛んできそうです。そして本作は、多くのファンが離れて行ってしまうかも知れないほどの冒険となったに違いありません。バンドは自分たちの間口の広さやルーツをお披露目する意味でやっているのかも知れませんが。音像は、よりストレートなロックサウンド(70年代ロックへの憧憬と表現できそうな原始的なロック?)になっていますが、メタル耳の私にも十分楽しめる作品で安心しました。むしろ所謂70代ロックをロクに聴いたことが無い耳だからこそ楽しめるのかも知れませんが。

なんといっても1番のお気に入りは#3「Sisters」。暗く物悲しい鍵盤。無駄を排した曲構成。Daniel Gildenlöwの美声にうっとりできます。メタルバンドのバラードなんて…と思っている方には是非聴いていただきたいと思います。私的にはこの曲に出会えただけでも本作を手にとった甲斐がありました。

#6「Sleeping under the Stars」も非常に面白い曲。 1:15-1:30で奏でられるようなリリカルなギターの調べにグラっときます。

1. "No Way" 5:26
2. "She Likes to Hide" 2:57
3. "Sisters" 6:15
4. "Of Dust" 2:32
5. "Tell Me You Don't Know" 2:42
6. "Sleeping Under the Stars" 3:37
7. "Darkness of Mine" 4:15
8. "Linoleum" 4:55
9. "Curiosity" 3:33
10. "Where It Hurts" 4:51
11. "Road Salt" 3:02
12. "Innocence" 7:13

以上、2010年10月3日記載。

***
そして「Road Salt Two」です。

初期のプログレッシブ・メタルをなかったことにするかのようなロックサウンドへの方向転換があった前作「Road Salt One」(2010年)。音楽性が全くといっていい程変わってしまっても「Sisters」のような涙腺決壊バラードを作られてしまうと、私としてはフォローせざるを得ないのです。本作は8作目のスタジオアルバムです。
iTunes StoreにてLADY GAGAの「Born This Way」が1200円になっており、ちょっとだけ食指が動きました。けど、あちらさんを買う人は世の中に数百万人単位で存在するでしょうから、こちらさんを買うことにしました。

音楽の方向性は「Road Salt One」と一緒です。前情報通りでしたが、やっぱり何度聴いてもおんなじ方向です。プログレッシブメタルを聴きたい人はさぞかしがっかりするでしょう。

しかし、このアルバムからはヴォーリストでかつギタリストなDaniel Gildenlöwがやりたい様にやってる自由奔放さ、ある種恍惚的な世界を感じます。本作は最早メタルですらない。私にとってはDanielの極ウマなヴォーカルさえ聴ければいいのかも。
1回聴いただけでいいメロディとわかる、リスナーに優しい作りの#4、郷愁にかられる#8、曲後半の浮遊感が心地よい#13あたりが今のところのお気に入り。


1. "Road Salt Theme" 0:45
2. "Softly She Cries" 4:15
3. "Conditioned" 4:15
4. "Healing Now" 4:29 
5. "To the Shoreline" 3:03 
6. "Break Darling Break" (bonus track) 2:22
7. "Eleven" 6:55
8. "1979" 2:53 
9. "Of Salt" (bonus track) 2:36 
10. "The Deeper Cut" 6:10
11. "Mortar Grind" 5:46
12. "Through the Distance" 2:56
13. "The Physics of Gridlock" 8:43 
14. "End Credits" 3:25
15. "Last Night"
16. "Thirty-Eight"

バンドメンバー
Daniel Gildenlöw - lead vocals, electric and acoustic and fretless guitars, bass guitar
Fredrik Hermansson - electric and acoustic pianos, organs, mellotron, other keyboards
Johan Hallgren - electric guitars → バンドから脱退が決まっているようです(10/21 official HPより)
Léo Margarit - drums

メタルのフィールドに、Daniel Gildenlöwはもう帰ってこないのでしょうか。個人的には帰ってこなくても彼自身が満足できるような、よいアルバムを作り続けてくれていればよいです。寂しいですが。それよりも心配なのが、誰をメインターゲットにこれからのアルバムを売るか、ということでしょうか。この路線のままでは、メタルリスナーはPain of Salvationのアルバムを購入しないでしょう。かといってロックファンが注目してくれるかというと・・・?商業的に困窮すれば作りたいものが作れなくなって、アルバイトで生計立てつつ音楽活動を…なんてことにもなりかねないのでは。それはそれで名盤を作る原動力になるのかもしれませんが。
時々「The Perfect Element part.1」や「Remedy Lane」みたいなオールドファンたちが喜ぶアルバムを作って、後は自分の趣味に走った実験的な作品をつくる…ってのが私としては嬉しいですが、まぁそんな簡単じゃないでしょう。
メタルファンからは酷評される、もしくは評価の対象外、もしくは買って聴かれることすらないアルバムになってしまったかもしれませんが、私としては、遠くから温かい目で見守っていきたいと思います。

(雑) 矢張り頑張らないのが1番

裁判官は、内科医が「病気やない、甘えなんや」「薬を飲まずに頑張れ」などと力を込めて言ったことについて、「安易な激励や、自助努力を促すような言動で病状が悪化する危険性を避ける注意義務に違反した」と述べ、発言と病状悪化との因果関係を認めた。 

→「『頑張れ』などの発言は違法」として、60万円の支払いを命じた。

***
この記載では
・どれ位、医者が力を込めて言ったのか
・どの位、患者の病態に対して安易な激励だったのか
・どの位、自助努力を促したのか
・どの位、患者の病状が悪化したのか
・患者の病態が悪化するような、その他の交絡因子はなかったのか

が、まるで分からないので、「私がこれから出会う患者さんから訴えられる可能性を低減させること」(即ち私の不適切発言によって傷つく可能性のある患者さんの発生率を下げること)に全く役立ちません。勿論、そんなことを意図しての報道ではないでしょうけれど。
麻酔科医としての私は、 取り敢えず、手術室で患者さんの全身麻酔導入前に「頑張りましょうね~」と無責任に言う外科医や看護師、研修医を取り締まろうかな~と思ったりします。
それはやらないにしても、夜中の3時の緊急手術時でも、患者さんや家族に頑張りましょうというのは止めておいて、こっそり自分の中で頑張ろっと。

2011年10月25日火曜日

(雑) カマンコウルド(其の弐)

本を読みました。

「一生風邪をひかない体のつくり方」 (知的生きかた文庫, 2011年)

普通の医者はあまり手に取らないであろうタイトルです。
しかし、私は「風邪をひかない」どころか、医者になってからも年に数回風邪をひく風邪の猛者、常連客なので、もういい加減そんな生活に嫌気がさしました。そして、何でもいいから風邪をひかなくなりたい(若しくはせめて、風邪を引く回数を1回/年、程度にはしたいなぁ)と思って、 読んだという次第。

規則正しい生活、早寝早起き、禁煙、深酒をやめる、適度な運動をする、適度な肉食をする、ビタミンは野菜で足りなければサプリメントで補う、手洗いうがい→うがいは口うがいだけではなく鼻うがい(ぬるい生理食塩水で)も行う、人ごみに出かける際や飛行機にのる際にはマスク着用、コンビニの弁当は極力食べない、などなどが書かれておりました。

私の場合、

・当直日に、「いつ急患が来るだろうか」と思ってビクビクしながら起きていないでさっさと寝る
・酒は極力飲まない
・少しは肉を食べる
・サプリを摂る
・鼻うがいをする
・人ごみではマスク着用
・コンビニ弁当食べない…当直日には3食分持参すればいいのでしょうか

ぐらいかな。あと、やるとすれば。
とか何とかと、ごちゃごちゃと悩んでるから風邪ひくんじゃなかろうか?私の場合。

(麻) 久しぶりにJB-POTネタ

もうすぐJB-POTですね。

一昨年、英語のJB-POTを受ける際には原著の方にお世話になった、「Perioperative Transesophageal Echocardiography Self-Assessment and Review」の邦訳が出たんですね。


「周術期経食道心エコー図―効率的に学ぶために」(真興交易医書出版部 (2011/10))
Amazonでは今日現在品切れのようですが。

邦訳の価格を見てぎょっとしましたが、原著も1万円くらいすることを考えるとお得かもしれません。私自身はこの問題集で間違えまくって暗澹たる気持ちで受験したのですが、何故か合格できました。
邦訳なら勉強が捗るでしょうね。
私がもう一度JB-POTを受けるならばこの本は「買い」です(勿論日本語訳が正確であれば、ですが。注:訳された先生方にケチを付ける意図ではなく、試験問題において「~は上昇する」とか「~は減少する」とかそういうところが誤訳だったりするとクリティカルになるので、すべての翻訳の本においてそれを懸念しての発言です)。が、本番の問題傾向が、問題集と異なっても泣き寝入りするしかないのですが。

2011年10月22日土曜日

(雑) ジェットラグとカマンコウルド

シカゴから帰って、数日経ちました。帰国便に乗る前から頭痛・鼻水・悪寒が止まらず、かと言って帰らないわけにはいかないので、帰国便ではじぃっと窓際の席に押し込められたまま13時間座ってました。帰途に着く頃には、日本から持っていった風邪薬は全て飲み尽くしていたので、オヘア(O'hare)空港に売っていたアメリカのCONTAC(アセトアミノフェン500mg+フェニレフリン5mg/1錠)を機内で内服したのですが、鼻汁の勢いになす術なし、といった状態。 ホテルで大量にティッシュペーパーをもらっておいてよかった。

 シカゴ行きの飛行機では一睡も出来ませんでしたが、帰りは具合も悪かったので13時間中、6時間は眠っていた気がします。起きてする事といえば鼻をかむ事と、与えられた食事をとる事、トイレに行く事。家畜のような。

そんなアメリカ便のセットリスト
@往路
・宇多田ヒカル/ Wait & See 1曲
・Labyrinth : Return To Heaven Denied Pt. II  
・Yngwie J. Malmsteen: Trilogy
・Yngwie J. Malmsteen: Trial By Fire: Live In Leningrad
・ALI PROJECT: dilettante
・As I Lay Dying: The Powerless Rise
・Adagio: Archangels in Black 7曲目まで。
・My Chemical Romance: Three Cheers for Sweet Revenge
・Strapping Young Lad: heavy as a really heavy thing
・Strapping Young Lad: City
・Rhapsody of Fire: From Chaos to Eternity
・ChthoniC: Takasago Army
・山口百恵: GOLDEN☆BEST / PLAYBACK MOMOE part2 Disk1-2
・Wuthering Heights: Lost at Sea 1曲
・Wig Wam: Hard To Be A Rock'n Roller...
・Septicflesh: The Great Mass
・Queen: More of that Jazz 1曲
・PENICILLIN: Ultimate Velocity
・ACCEPT: Staying A Life [Live] Disc1-2 このアルバムの熱気って凄すぎる
・HALFORD: Live Insurrection Disc1-2 やっぱりJawbreakerって凄い曲だ
・Blind Guardian: 東京物語
・Primal Fear: Jaws Of Death

@帰路
・Yngwie J. Malmsteen: Concerto Suite for Electric Guitar and Orchestra in E Flat Minor LIVE with the New Japan Philharmonic
・Dark Lunacy: The Diarist
・JUJU: Request 何周かした
・宇多田ヒカル: Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL. 2 (2010) こちらも何周かした
・Queensryche: Operation: Mindcrime

 帰国してから発熱し、開業医のところに行って大量の風邪薬を処方してもらい、飲んで昼間に寝ていたら今度は夜中に全く眠れなくなり(シカゴ滞在中から睡眠リズムがおかしくなってしまっていたのも理由の1つ)、その状態のまま麻酔しに行ったら20時間ほぼノンストップで1件の予定手術(久しぶりに気管支ブロッカー使ったよ)と3件の緊急手術の麻酔をして、終わったのは夜明け近く。また眠れず。抄読会の英語の練習をしたくとも、咽頭痛・黄色い痰・嗄声のためにうまく出来ない。そんな感じで今日も生きています。
精神的には元気でも、体がそれに追い付いてこない状態というのは、結構ストレスです。「休みなさいっていうサインだよ」ってことなのでしょうが、横になっても眠れないので困っています。時差ボケと睡眠障害の人の気持ちが、ほんの、ほんのちょっぴりだけわかったような気がするというのが、この旅行の収穫でしょうか。

漸く 麻酔関連の行事が終了したので、本業の大学院生活に戻れる…といいな。

2011年10月21日金曜日

(雑) TPPって…

ちょっと前ですが。

環太平洋経済連携協定(TPP)に日本が参加すべきだと思う人は51%で、「参加すべきでない」23%を上回った。(2011年10月7日~9日の読売新聞社の電話による世論調査)

今更ですが。TPPとは「環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)」。参加国:シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの自由貿易協定(FTA)として2006年に発効、その後、米国、豪州、ベトナムが参加、現在は計9カ国。

上記調査に「参加すべき」と答えた過半数の日本国民の方々は、TPP参加で、本当に日本が豊かになると考えているのでしょうか。上記の国々で日本の輸出を押し上げるような財力のある国はアメリカしかない気がしますが。そしてそのアメリカの失業率は9%以上です。テレビ情報では、農業のことばかり取り上げられますが、医療も自由競争の俎上に上げられます。
人・モノ・金・サービスの移動を全て自由化する、というのがTPPの本質だとしたら、医療費は高騰し、国民皆保険制度は崩壊し、医療サービスが受けられずに死ぬ経済的弱者が増え、不景気で儲からないアメリカ人弁護士が日本に上陸して、今よりも医療裁判が増える(そして私は訴えられて路頭に迷う)。

メディアは概ねずっと「参加したほうがよい」という論調だったように、私は感じているのですが、もう一度、「TPPに日本が参加するとどんないいことがあるのか、悪いことがあるのか」というところから説明して欲しいと私は思います。これは情報操作なのか、TPPに参加するとメディアに何か儲かる話があるのでしょうか。

年金の支給開始が遅くなることより、TPP参加の方が大問題の気がします。 上記のことが全て、単なる私の誤解と妄想なのだとしたら、どなたかその誤解を解いて、安心させてくれないでしょうか。もうちょっと学ばないとダメだな、こりゃ。

2011年10月18日火曜日

(音) 太平洋上で嬉しい誤算だったAS I LAY DYINGのThe Powerless Rise (US, 2010年)

アメリカのバンドが奏でるメタルがメロディアスじゃなかったのは、もう遠い昔…という逆説的な懐古主義に浸ることのできる1作。2001年から活動、本作はスタジオアルバム5作目。このバンドの作品は初めて聴きます。

ASAに向かう上空で、思いがけずその良さにハマってしまった一作です。

このバンドの音はメタルコア、というジャンル(メタル+ハードコア)に分類されるようです。ハードコアどころかメタルコアというジャンルの音を聴いたことが殆ど無いので、そのジャンルの中での本作の位置づけは私にはよく分かりません。なので、欧州のバンドの奏でるメロディックデスメタルに鍛えられた耳として本作を聴くしかありませんが、そんな私でも、殆ど努力することなく楽しめます。というか、かなり良い。破壊力抜群のヴォーカルと時折垣間見られるクリーンヴォイス(#4とか#8とか#9のサビとか)、随所でスリリングに聴かせるギターソロやわかりやすいリフの数々、ブラストビートから想像するに、メロディックデスメタル好きな人にも十分アピールする作品です。北欧バンドを凌駕するかの如き哭きフレーズを小出しに連発してくるのでぐいぐい惹きつけられます。もっともデスメタルやブラックメタルファンにとってはメロディアスすぎて、お子様向けな音に聴こえるかもしれませんが。
私的には、近年のChildren of BodomやSoilworkの作品より楽しめました。本作は、より聴きやすくなった「The Crown」という印象です。1曲1曲がコンパクトな長さなのもよい。即効性が高い分、時間の流れに耐えられるかどうか、が気になります(つまり百回単位のリスニングに耐えられるか、何年経っても飽きないかどうか)。
本作は専門誌でもバンドの最高作と評されているようです。これ以上のメロディはこのバンドには不要だと思います(この作品しか聴いていないくせに大変おこがましいですが)が、次作以降でもっともっとパワフルに我が道を突き進んで、メタルシーンの一角を牽引して欲しいと願います。

近々発表されるカヴァーアルバムにJudas PriestのThe Hellion ~ Electric Eyeが収録されているようなので、そちらもどんなアレンジになっているか楽しみ。

1. "Beyond Our Suffering" 2:50
2. "Anodyne Sea" 4:35
3. "Without Conclusion" 3:15
4. "Parallels" 4:57
5. "The Plague" 3:42
6. "Anger and Apathy" 4:26
7. "Condemned" 2:50
8. "Upside Down Kingdom" 4:00
9. "Vacancy" 4:27
10. "The Only Constant Is Change" 4:08
11. "The Blinding of False Light" 5:05               Total length: 44:15

色付けはあくまでも相対的に、ですが。

(麻) 周術期ACLSの簡単なまとめ

TEEとか末梢神経ブロックとか勿論大事なのですが、生死に関わるピンチのときに何も出来ないと麻酔科医のアイデンティティが大きく損なわれる気がします(TEEは勿論life threatening situationにもパワーを発揮しますが)。ピンチの際には下のまとめなんて見ている余裕は当然無く、頭より先に体を動かさねばなりません。鑑別診断リストなんて覚えようとしていたら覚えられませんが、瞬時に色々思いつかないと患者さんを永遠に失いかねません。
ちゃんと勉強しないとな…。

***
Anesthesiology. 2003 Aug;99(2):259-69.によると・・・
・非心臓手術で周術期に心停止を起こした症例を検討。
・1990から2000年の11年間、Mayoクリニックにて。
・518,294麻酔中223人が心停止。(4.3 per 10,000)
・対全麻では (7.8 per 10,000 during 1990-1992; 3.2 per 10,000 during 1998-2000)
・対局麻では(1.5 per 10,000)
・MAC(monitored anesthesia care)では (0.7 per 10,000)
・心停止後生存率は46.6%, 生存退院は34.5%.
・24人(0.5 per 10,000) は麻酔に直接原因のある心停止。
(つまり麻酔が原因は24/223人で心停止中10%弱)
・多変量解析では出血による心停止患者は生存退院率が有意に低い(P = 0.001).
・時間外(nonstandard working hours)心停止患者では生存率が低かった(P = 0.006)。
これは蘇生にかかわれる人出が足りないためであろう。
・心停止前に長期に低血圧が続く患者も生存率が低かった(P < 0.001).
・多くの心停止が麻酔関連原因ではなかった。麻酔関連心停止患者の多くは生存退院していた。
***

・心室性頻脈>150 bpmによる重篤な症状等があれば直ちに除細動する

@周術期にACLSを要す麻酔薬関連原因
・静脈麻酔薬過量投与
・吸入麻酔過量投与
・区域麻酔による高位交感神経ブロック
・局所麻酔薬による全身的毒性
・悪性高熱症
・薬剤投与エラー

@呼吸による原因
・低酸素血症
・急性気管支痙攣
・autoPEEP

@心血管系による原因
・迷走神経反射
・循環血液減少、出血性ショック
・緊張性気胸
・アナフィラキシー
・輸血に対する副作用
・高カリウム血症等の急激な電解質異常
・重度の肺高血圧
・腹腔内圧上昇
・ペースメーカー不全
・QT延長症候群
・急性冠症候群
・肺塞栓
・ガス塞栓
・眼球心臓反射
・電気けいれん療法

@オペ室での蘇生ポイント
・全麻下であれば患者の意識有無を呼びかけ確認する必要がない
・適切な人間にCPR開始を指示すること
・麻酔と手術を中止すること
・助けを呼ぶこと、除細動器をもってきてもらうこと
・挿管されてなければBMVを行い、その後挿管すること
・不用意にCPRを中止しない。脈拍触知よりもカプノグラフィの方が循環再開の鋭敏な指標となる
・換気は8-10回/分。100%酸素。
・全ての静脈ラインは全開にする

@以下は区域麻酔について
・区域麻酔中の心停止は1.8 per 10,000 patients (neuraxial)
・頻度は脊麻>硬麻 (2.9 vs. 0.9 per 10,000 ; P = 0.041) (Anesth Analg 2005;100:855-865).

@区域麻酔中の心停止治療
(注意:勿論下記だけでは全ての状況はカバーできない。局麻の過量投与や頻脈、ガス塞栓、産婦ではそれぞれの状況に応じて治療する必要あり)
・中止できる麻酔や鎮静薬は中止
・100%酸素で換気、挿管。
・症候性徐脈や脈なし10秒以上ではCPR開始。
・徐脈は1mgのアトロピンで治療
・1mg以上のアドレナリン静注で治療(0.1mg/kgまで)
・40単位のバゾプレッシン併用を考慮

@周術期PEA・心静止の鑑別診断(8H & 8T)
Hypoxia Trauma/hypovolemia (低酸素、外傷/循環血液減少)
Hypovolemia Tension Pneumothorax (循環血液減少、緊張性気胸)
Hyper-vagal Thrombosis of Coronary (迷走神経過緊張、冠動脈血栓)
Hydrogen Ion Tamponade (アシドーシス、タンポナーデ)
Hyperkalemia Thrombus in Pulmonary Artery (高カリウム血症、肺塞栓)
Malignant Hyperthermia Long QT syndrome (悪性高熱症、QT延長症候群)
Hypothermia Toxins (anaphylaxis) (低体温、薬物-アナフィラキシーなど)
Hypoglycemia Pulmonary HTN (低血糖、肺高血圧)

***
勿論、上記の記載は全てを網羅していません。臨床の問題に決まった答えは1つとしてなく、あくまでcase by caseです。
自分がこれまで治療に関わった、オペ室で心停止を起こした患者さんたちのことを、朧気に、しかしはっきりとシカゴで思い出します。

参考文献
Adapting ACLS to the Perioperative Period (Anesthesiology 2011 refresher course lecture summary)

2011年10月17日月曜日

(本) After Dark - Haruki Murakami (2004年)のメモ

原著を読んだ後に英語翻訳版を続けざまに、読んでみました。
"Has your father ever gone to prison?"
She shakes her head. "I don't think so."
"Your mother?"
"I don't think so"
"You're lucky. You should be grateful that's never been a part of your life." Takahashi smiles. "I don't suppose you know that."
"Never thought about it."
"Most people don't. I do." (p.146)

"Well, finally, once you become an orphan, you're an orphan till the day you die. I keep having the same dream. I'm seven years old and an orphan again. All alone, with no adults around to take care of me. It's evening, and the light is fading, and night is pressing in. It's always the same. In the dream I always go back to being seven years old. Software like that you can't exchange once it's contaminated."(p.148)

"Let me tell you something, Mari. The ground we stand on looks solid enough, but if something happens it can drop right out from under you. And once that happens, you've had it: things'll never be the same. All you can do is go on living alone down there in the darkness."
Korogi stops to think again about what she had just said and, as if in self-criticism, gently shakes her head. (p.158)

今自分がいる、この場所は、矢張りとても脆い場所で、昨日までの自分が何とか社会とのつながりを保ってやってきたことの上に成り立っているんだっていうこと。当たり前のこと。そう、当たり前すぎて誰も言わない。誰もが知ってるから。
その脆い場所が、気がついた時には壊れているということもあるんだろうか。壊れたときには壊れたことすら気づかないのだろうか。

2011年10月16日日曜日

(旅) Anesthesiology 2011 ~ASA day 0~1 海外初ポスター発表

Chicago Tribune紙の創業者Robert McCormickから名前をとった”McCormick Place”は、迷子になるなという方が難しいような巨大な建物群で成り立っています。シカゴのガイドブックを真剣に読み始めたのが出発前日…という私でもそれだけは知っていました。気を抜くとすぐに迷子になる私は、発表の前日、学会参加登録証を貰いに来るついでに下見に。と言っても巨大すぎるので、自分のポスターを貼り付ける場所が会場全体のうち、どのあたりに位置するのか、を把握しただけ。Metraという電車を使って会場まで来たのですが、券売機の読み方に苦戦したり、ホームで待っていたら「次の電車何時にくんの?University Park行き?(in English)」と黒人のお姉さんに聞かれたり、ちょっとドキドキします。何処からどう見てもasianな私に聞いても分かる筈ないと思うのですが。乗車時間はほんの数分。電車の窓が埃で薄汚れていてあまりよい眺めではありませんでした。


という下準備の元、発表の朝を迎えます。まだ暗い中、6:30にホテル前の迎えに来るシャトルバスに乗って会場へ。朝もはよから、バスには数十人の麻酔科医らしき人たちがいました。
空を見上げるとまだお月様が。
会場内はまだガラガラです。遠くに「ANESTHESIOLOGY 2011」と掲げられております。一応ちゃんと行って来ましたよ、という証拠写真です。 昼間に同じ場所を通ったら…まぁ凄まじい混雑具合。東京から来たのに、また東京の通勤ラッシュの中に戻ってきたような気分になり具合が悪くなりました。
 ポスター会場は、企業ブースの隅っこの方にありました。巨大ラリマ。
同じく巨大モニタ。

発表についてです。
座長の先生(2人)がポスターを1枚ずつ回り、演者はその先生方(+聴きに来た聴衆)の前でプレゼンをするという、日本の学会と同じスタイルです。私の発表の順番は早めの時間だったため、聴衆は疎らでしたが、こちらとしてはそのお陰で、過度の緊張を強いられることなくプレゼンを終えることができました。いきなり座長の先生に握手を求められ、おぉアメリカン!と一人感動。私の英語が本当に聞き取って貰えていたのかについては、今となっては闇の中。ですが、プレゼンの最中に座長が適切なタイミングで、内容に即した適切な質問をしてくださっていたので、まずまず伝えたいメッセージは伝えられたのではないかと思います。あぁよかった。小さなメモ用紙にプレゼン内容を書いていったのですが、結局それは見ず、ポスターを指し示しながら喋り、そして、聴いている方々がちゃんと内容に着いてきて下さっているのかを確認しながら話すことができたので、目標は達成されたということにしたいと思います。5-6個質問もされましたが、何故か応答することができました。奇跡です。
そして、日本の学会と大きく異なるのはポスターセッションの時間が3時間もあることです。その3時間は自分のポスターの前(もしくはその付近)に立っていなくてはならず、それが結構大変です。夜中には全然眠れなかったのに、今頃になって眠くなってきます。そうこうしていると時間が経って無事終了。会場に来て下さったI先生、ありがとうございました。

*** 
学会はまだ続いていますが、発表までにどんなことをしてきたのかの記録を残しておこうと思います。
このブログを読んでくださる方の中に、もしかしたら今後、アメリカ麻酔学会に初めて抄録を提出し(させられ)、採択され、ポスターをつくり、発表原稿をつくり、念仏のように原稿を口に出して練習し、渡米し、発表する、ということにチャレンジされる方がいらっしゃらないとも限らないので、私がこの半年でやったことを記しておきたいと思います。まぁ、こんな人間もいるんだな、という程度にでもご参考になれば。

***
4月:抄録を作成する。指導医と何度かメールのやりとりをして完成にこぎつける。 
4月29日:抄録をオンラインで提出。締切日、締切時間の超直前は避けないと。
7月4日:演題登録時には6月中に採択の可否がメールで送られてくると通知があったのですが一向に来ない。しびれを切らしてメールで問い合わせると、すぐさま返事が来ました。流石ASA!と思ったらauto replyで「The ASA office will be closed on July 4th.」あぁそうか独立記念日だから。
7月5日:メールの返信が来て「2週間以内には通知します」
7月9日:当直中、眠気まなこにメールチェックしたら採択されていました。
7月11日:更に英語リスニングに力を入れようと思い、iPod nanoを英語リスニング強化仕様にした途端に故障。オンラインで修理を依頼したところ、手元に戻ってくるまで1週間かからず驚嘆。
7月12日:ポスター作成規定を読む。ふむふむ…と作成開始
毎日暑い
7月25日:麻酔科専門医試験が1日早く開始になる、という情報にちょっと動揺
本当に暑い
7月30日:研究室の英語抄読会を終え、ストレスが1つ減り安堵
8月1日:飛行機とホテルと、学会参加登録をする。1ドル77円で円高がちょっとありがたい。学会のホームページからホテルを選ぶ。あぁなんでこんなにホテルの値段が高いんだ。しかもどこも結構会場から遠いぞ。予約可能なホテルの中で1番会場に近そうなところを予約。
何でこんなに暑いんだ
8月27日:連日の暑さに、やる気の低値更新中だったが、漸く底値を脱した気持ちになってくる。モーツァルトのレクイエム「Rex Tremendae」を無限リピートしつつ、ちまちまとポスター作成。
9月5日:作ったポスターを指導医にみてもらう
(9月29日~10月1日:麻酔科専門医認定試験)
10月1日~:試験が終わった直後からポスターと発表原稿の手直しを再開。
10月3日:思いだしたかのようにASAのリフレッシャーコースの申し込みをオンラインでする。どれも$0で申し込めるようになっている。どうやら今年は無料で席も早い者勝ちのようだ。
10月5日: ポスター発注。原稿の喋り練習をスキマ時間に行う。ぶつぶつぶつぶつ
10月12日:大学で予演会。もっとブラッシュアップしなきゃダメか。ぶつぶつぶつぶつ練習
10月13日:ワシントンD.C.のダレス国際空港で乗り継ぎ便に間に合わずチケットの交渉。あぁ英語、全然聞き取れない。こりゃ駄目だ。もう帰ろうかな。
10月14日-15日:ホテルの部屋で最後の練習。

@役に立った本など。大変お世話になりました。
・地球の歩き方 シカゴ'10-'11. ダイヤモンド社
・タビトモ シカゴ. JTBパブリッシング (2010/12/28)
国際学会English挨拶・口演・発表・質問・座長進行. 医歯薬出版 (2007/04)
国際学会Englishスピーキング・エクササイズ口演・発表・応答. 医歯薬出版 (2010/03)
英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻―忙しい若手ドクターのために. 南江堂 (2006/4/17)
・ポッドキャスト: OpenAnesthesia.org ほか
・本:The Checklist Manifesto: How to Get Things Right. Atul Gawande :ASA学会での講演をぜひ聞きたかったのですが、自分の発表の時間と重なっていたので、著書を読んで我慢しました。
カラープリントショップアドテック :ポスターはこちらにお世話になりました。データを送ると翌日には届けてもらえました。筒でポスターを持っていくのはちょっと…という方は考えてもよいかもしれません。布ポスターは値が張るので若干躊躇しますが、利点としては、折りたたんでも破けたり印刷が滲んだりしないため飛行機内持ち込み用のカバンに収納できることです。海外に行くと、スーツケースが行方不明になる危険性もあるので、ポスターは肌身離さず持っていたいものです(特に私のような初心者は)。

今度発表できるのは、いつになるかな…。

(麻) 麻酔科専門医認定試験・口頭と実技試験 ~ A homage to Prof. S

麻酔科専門医認定試験を受けた方であれば、「俺はどんな問題でも完璧に答えられるぜ」という一部の奇天烈な麻酔科医を除いて、み~んながお世話になったであろうwebサイトに最大限の敬意を払い、私の受験記を掲げてみたいと思います。
間違ったことを言っている箇所もありますが、可能なかぎり再現してみました。最早、記憶の彼方ではありますが。

***
12時40分に集まって以後私語厳禁。13時過ぎに誘導されてエレベーターで8階の会場へ。薄暗く長い廊下の左右に椅子が点々と置かれ、試験のお手伝いをしてくださる女性たちが各部屋の前に座っている。なんだかなぜだかいつかどこかでみた映画のワンシーンみたいだ、とぷちぷち感動して、なんだか「マトリックス」が見たくなってきたなぁ。と思っているうちに自分の椅子に誘導され着席する。

前情報通り、5分間の問題文読みとメモ記載。しかし、書くことがない。
「書ける」ことがない。
5分って意外に長い…。

部屋に通されると右に男性、左に女性の先生が座っている。

1問目
70歳の女性が転倒して大腿骨頚部骨折。20年来のリウマチ(RA)。大腿骨頭置換術予定になった。

A先生(以下A):問題文は読んだ?はい、じゃぁRAの方の麻酔上の問題点を挙げて下さい。
―(あ、もう始まってんのか)は、はい。ぺらぺら。(あれ、でもあんまり言うことが思い出せないや)
A:ステロイドの長期内服で注意することはなんですか。
―は、はい。(とステロイドの合併症を説明)

その後、環軸椎亜脱臼でどういう症状が出るのか、どうして出るのか、など質問。

A:はい、先生はどんな麻酔をしますか。
―私なら、抗凝固薬内服中などの禁忌がなければ、脊髄くも膜下麻酔を行います。
A:何をどれくらい使いますか
―等比重のプピバカイン(あぶね、マーカインって言いそうになった。一般名で答えなきゃ)を・・・2.4-2.8ml程度だと思います。Th10を目標に。(あ、穿刺部位も言ったほうがよかったかな…ん?もっといっぱい入れるのが好きな先生なのだろうか?そんな量でTh10まで行くか!って思ってんのかな?…表情からは全然わからない…)
A:どっち向きに?
―え、えぇと痛いので患側が天井側になるように…
A:じゃあこの方が抗凝固薬を飲んでいてね、先生がおっしゃるように脊麻ができないとします。挿管全麻でやるとして気道確保の方法を教えて下さい。
―私なら、経鼻ファイバー挿管で行います。(口が開けばAWSだけどなぁ…と思いつつ)
経鼻ファイバー挿管のやり方を教えてください。
―最初に鼻の中を麻酔します。4%リドカインとアドレナリンを混ぜて…
A:どのくらいの割合で混ぜるの
えーとリドカイン9mlにアドレナリンを1mlで10000倍にして…
A;えぇ、そんなに濃いの??それだと何倍になるの?

このあたりから離人感でいっぱいになる。あ、あれ、そんなにいれないぞ俺。
以下、何問か聴かれたけどこの時の離人感ですっかり失念する。

A:手術が終わってリカバリにいたらね、急に「胸が苦しい」って胸部苦悶感を訴え始めました。鑑別診断を挙げて下さい
―鑑別診断は
・肺塞栓
・気胸
・喘息発作
・ACS、急性冠症候群
・稀ですけど大動脈解離
あとは…麻酔中の出血過多や輸液量が少ないことによるhypovolemiaで血圧低下が原因かも知れません…あとは…
 A:(言い淀んでいたら遮られて)はい、ではどう対応するか教えてください
―まずモニターを装着して酸素を投与開始します。救急カートを持ってきてもらいます。NIBPとSpO2と心電図、あれば12誘導ECGでバイタル確認します。取り敢えずのバイタルが保たれていればポータブルのエコー装置で肋間や剣状突起下から心臓の動きを観察します。右心系の負荷があるか、左室壁運動の極端な低下があればおそらく分かると思います。同時に採血でD-dimer、これは手術の影響もあるので高くなっていて役に立たないかも知れませんが、とトロポニンT値を測定します。その後に循環器内科のDrに連絡して診察をお願いすると思います。
A:じゃぁ以上です。(B先生に対して)じゃぁ先生の番ですね。

2問目
手術不能の進行期膵臓癌の治療のために疼痛コントロール目的に入院となった。

B先生(以下B):がんの痛みの分類を教えて下さい。
―(ちーん、はい終了。痛みの分類?そんなのありましたかな?取り敢えず知っているものを並べてみよ)
…体性痛、内臓痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛……があります。………後はわかりません…
B:この癌の痛みの原因を教えて下さい。
―(え?何で痛いかって?神経を刺激してるからじゃないか。)えーと、腹腔神経叢に癌が浸潤しているのと…局所の圧迫なんかによる痛みが…考えられます。…脊椎浸潤等による骨の痛みもあるのかもしれません…(あぁ沈黙が痛い。痛い。もう帰りたい)
B:この方の痛みの治療をNSAIDsのロキソプロフェンで行うことになりました。NSAIDsの作用機序を答えてください。
―(作用機序!?あぁ、そんな基本的なことを聴かないで下さい)あ、・・・・・あの、こ、こ、COXじゃなかったシクロオキシゲナーゼを阻害してプロスタグランジンの産生を抑制して…炎症を抑えたり………します。

このあたりで、B先生の隣に座っていたA先生が自分の名札をいじくりはじめる。…あぁ採点する価値もないってこと?あぁ、もうだ、だめ?だ?

B:はい、ではチンツウノゴゲンソクヲオシエテクダサイ
―(え?あぁ名札に気を取られてよく聞き取れなかったぞ、ぁあでも聞き返すと減点されるかもしれない)は、はい。決まった時間で、鎮痛薬ラダーにそって、患者さんごとに、その上で患者さんごとにきめ細かい対応を、(…あれ、4つしかない…)、あれ4つしかありませんね。
(B苦笑):あと1つは何ですか?
―あと、1つは(あれ、おかしいな…ブログに書いたぞ…何で思い出せないんだろう……)、……すいません、わかりません。
B:ではそのWHOのチンツウノ3段階ラダーを教えてください。
―はい、(これは答えられた)
B:はい、ではこの方にモルヒネを始めたとします。初期に起こりうる副作用3つを上げて対策を教えてください
―吐き気が出ます。メトクロプラミド等で対応します。2つ目は便秘でこちらには酸化マグネシウムやセンナ等で対応します。3つ目は・・・(あぁ、またワカンナイや…もう本当に帰りたい……)・・・ねむけでしょうか・・・・・・?
B(やや笑いながら):じゃあそれにはどう対応しますか?
―え、え、えとメチルフェニデートを投与すると思いますが……(お願いですから相槌なり何なりうっていただけませんか?)…教科書にはそう書いていますが、実際にそうやっているのを見たことはありません(あぁ、これ絶対余計なこと言った)
B:緩和ケアはやったことおありですか?
―(これまでのグダグダ具合から、聴かなくてもお分かりでしょうに!)は、はい。3年ほど前にペインの研修は少しやりましたが…(だって末期がんの方でモルヒネで眠気が…っていうシチュエーションに遭遇したことはありませんのよ)
B:では接遇問題です。サトウタロウさん(だったっけ?)のお兄さんが、患者さんが入院になった経緯と治療方針について聴きたいということで部屋で待っています。では部屋に入るところから始めてください。
―(え、もう始めんの?患者さんの名前なんだっけ?もう忘れちゃったよ。)

…と思うと同時に、「これまでの質問に1つも自信を持って答えられなかった人間からどんな説明をこの方々はお聞きになりたいというのか???」と「???」がいっぱい出てきて、自分が何だか出来の悪いコメディの中に迷い込んだみたいで、腹の中で思いっきり笑ってしまったのですが、もう眼の前にサトウナントカさんのお兄様がいるわけで、今笑ってしまったら「絶対落ちる」と思いつつ椅子から立ち上がり、何とか平静を装って自己紹介とお辞儀)、

―「失礼ですが患者さんとの関係は…?」
A:兄です
―では失礼して座らせて頂きます。「こ、今回の…今回の入院は…ごにょごにょごにょ、たどたどたど、、、」と説明。自分の椅子と、神様のように感じられる試験官先生方との机+椅子まで微妙に遠く、この空虚な2m超の空間が病状説明にとても不似合いで、もうなんというか完全にしどろもどろで…。それでも最後の最後には「何か質問ございますか」と付け加える。
A:あのぅ、麻薬なんてやったら、寿命が縮まるって聴いたことあるんですけど?
―(…はぁ、もう。帰りたい。帰りたい。かえろ~かな~かえるのよそぉかな~、あぁさぶちゃん)
いえ、そんなことはございません(ございませんってなんだよ)、ぺらぺら……。
(こりゃ完全に駄目だ…あぁでも、これは前情報通りの感情だ…こんな感情も再現されるなんて、なんて滑稽なんだろう)
A:はい、では以上です。お疲れ様でした。
―(もうやけくそだ。最後ぐらい元気に出ていこっと)どうもありがとうございました!!!

あーあ、あの部屋は試験官の先生以外に魔物(それも凄く邪悪な魔物じゃなくてちょっと小賢しい感じの)が住んでたな。まぁ終わったんだからもういいや。何故かScorpionsの「In Trance」のギターソロが頭の中でリフレインしつつ部屋を出て、1人反省会をする余裕も勿論ないままに実技試験の部屋へ入るよう誘導される。あいうぇいかっぴんざもーにん…あぁクラウスマイネ…私が生まれる前に出たアルバムとそのタイトルトラック。あぁ、今はどうでもいいことなのに。

…。
実技試験の部屋に入ると、試験官の先生のうち1人は、講演や雑誌でお名前を存じ上げている先生だったので(といっても、勿論、先方は私なんぞをご存じない)、なぜかちょっと気が楽になる。

C先生(以下C):口頭試験はできましたか?はい。じゃーまずそこに座って下さい。
まず最初の設問ですが…、

ショウカタイガンノシュジュツヲザイデオコナウノデスガコノマスイカンリノケツアツカンリノチュウイテンヲフタツオシエテクダサイ。

は?
なんですって?

これはさっきの部屋の悪夢の続きか???
しかし、いきなり聞き返して退場させられたりして…いきなり減点されたりして…。
あぁ、ちょっとまって下さい。日本語変換しますので…。

松果体癌の手術を座位で 行うのですが、この麻酔管理の血圧管理の注意点を2つ教えてください…
??
…あ、問題の意味がわかった!

でも、何答えりゃいいんだ??

―座位ですので、動脈圧ラインの基準を心臓の高さにします。それと脳の灌流圧がモニタの値より座位の分、低くなることが予想されますので、血圧低下に十分注意して管理いたします。(うーん、これしか思いつかないや…)

C:はい、では動脈圧ラインで管理するということですね。そうこうしている手術が始まって、しばらくしたら、突然ETCO2とSpO2が下がりました!(お、きたな静脈空気塞栓!!!!!)何しますか?
―血圧心電図バイタルを確認し、純酸素にしつつ術者に空気塞栓の可能性を告げて手を一度ストップしてもらいます。術野が乾いていたら生食等満たしてもらいます。そしてヘッドダウンにして、肺動脈に空気がこれ以上行かないように…3点品固定されてるでしょうから難しいかも知れませんが、可能ならば左側臥位にする、もしくは、ベッドをローテーションします。エアを見るために挿入できればTEEを入れ(脳外科手術の途中で入れたことなんて一度もねーぜ)、後は空気を吸引するために内頸・・・・いや術野と重なって覆布があって難しいでしょうから…大腿静脈からCVCを挿入してエア抜きを試みます。また循環破綻していたらカテコールアミンの投与経路とします。
C:はい、じゃぁこの中から(と、TEEの画像が6枚示されたA4の紙を出される)、空気塞栓を診断するためのviewを2つ選んで下さい!!
―はい、えーと、fと(普通のbicaval view)……あとaです(four chamber view)。(その他は左室60°、90°、135°経胃左室短軸像だった気がする)

C:はい、じゃぁCVC入れよう。研修医に教えるつもりでやってみて下さい。
と右首の模型に対してエコーガイド下で入れる。D先生(以下D)にエコー持っててもらえるなんて!
―まず軽度ヘッドダウンにして首を左に軽く回旋します。(エコーで血管を描出する)ここにある血管に…
C:血管の名前を教えてください
―はい、内頸静脈と総頸動脈です(どっかで読んだな。ここでは「内頸静脈」、と「総頸動脈」ときちんと血管の名称を言えることがポイントだったな…ようやく調子が出てきたぞ)。

その後はCVCを交差法で穿刺して、ガイドワイヤーを挿入して、そのワイヤーが血管内に入っていることをエコーで確認するところまでで終了。

D:はい、では次の設問に行きます。Th4の脊髄損傷の人が仙骨部褥瘡の手術を腹臥位で行う予定になりました。胸腰椎の後方固定術をしています。首も伸展できません。さぁ、経鼻ファイバー挿管を「研修医に教えるつもりで」やってみてください。
―(また経鼻ファイバーか…)まずフェンタニルで鎮静、患者さんの状態をみつつミダゾラムかプロポフォールをごく少量ずつ使用します。舌根沈下しないよう細心の注意を払いながら(って患者さんが起きているのに研修医に説明しながらやらないよ、しかもなんだ、この異様な威圧感の研修医は)。鼻の麻酔はリドカイン+アドレナリンで、消毒はポピドンヨードでします。あと、口に中をリドカインスプレーで消毒、なるべく奥のほうまで…。輪状甲状間膜が触れれば、そこから23G針で局所麻酔薬を気管内に投与します。その後、鼻から細めのチューブを…男性なら内径6.5mm程度でしょうか……をじんわりと進めていきます。無理やり突っ込むと粘膜下に迷入したりしますので…(と言っているそばからチューブが進まなくなる)。

「これはちょっと狭いので左側の鼻から・・・」とやろうとするとDが手を出してきて「この模型、ちょっと抵抗あるんですよね」とゴリゴリすすめる。(げげ!!鼻血がでるよ~~)

D:はい、そのあとはどうするの?
―え、ええと12,3cm進めたらチューブの中にファイバーを通して…声門見えてきたらサイドポートから局麻を再度噴霧します。そして吸気に合わせて声門を通過して気管分岐部まで速やかに入れて…チューブを進めます。この時声門周囲で引っかかって抵抗があることがあるので無理せず…

D:ひっかかったらどうするの
―(あ、やっぱり突っ込まれた。余計なこと言わなきゃよかった)じんわりとねじりながら挿入します。もし開口十分ならば口からエアウェイスコープを入れて、声門を観察してどこで引っかかってるのか見ます。無理な力が声門にかかっていないことを確認しつつ挿入します。気管分岐部の上3-4cm程度のあたりまでチューブを挿入できたらプロポフォール100mg程度を急速静注して眠って頂きます。(そのあとはアンビューで換気確認して終了…と思ったら胸が上がらない)

D:カフ入ってないよ
―(あぁ、そうか)はい、すいません(と、5ml入れる)
D:片肺しか上がってないよ
―え、…あ、そうですね…ではもう一度ファイバーで気管チューブの深さを調節します
D:あぁ、もういいです。次の問題に行きます。
はい、ではそれで体位変換です。腹臥位にするときの注意点を教えて下さい。
―(あぁ、もしかしてこれが過去問にあった「体位変換」ってやつなのかな…注意点って言ったってなぁ…と)眼球障害やライン類の混線誤抜去、気管チューブ誤抜去、頚椎と体のアラインメントを注意すること、純酸素で換気しておくこと、褥瘡にならないように、等々を説明。ここは無難にクリアしたと思われる。

D:はい、そして手術がこのように進行して(と紙にプリントされた麻酔チャートを見せられる)…セボとレミフェンタニル0.05γでずっと落ち着いてますね。ここで血圧がガーンと上がって徐脈になっています。これはなーんでだ?
―脊髄損傷に伴う交感神経の異常反応です。
D:それをなんていうの?
―うーんと、うーん・・・・・・(ヒントください?ダメですよね?)・・・異常なんとか・・・異常・・・うーん、思い出せません。
D:先生のいわんとすることはよくわかるんだけどね、単語があるでしょ。
―……思い出せません。
D:はい、「autonomic hyperreflexia」でした。では次の設問です。
―(「え、まだやるんですか?!」と喉から出かかりましたがぐっとこらえて)はい。
D:麻酔が終わってよっこいしょ、と仰臥位にして麻酔を覚ます段階でこうなりました、と除細動器モニターにピ~~と1本の横線。
C:はい、診断名は?
―エーシストール、心「静」止です。
C:じゃぁ研修医に教えるつもりで対応してください。
―挿管されてるんですよね?(C頷く)まず100%酸素にして8-10回/minの呼吸状態にするよう指示します。そして心マを開始します。人を集めます。救急カートも。
(以下実際に心マしながら)毎分100回かそれ以上で、剣状突起から2横指上を垂直に5cm押します。押したらしっかり戻すことが重要です。…疲れるとマッサージが浅くなるので2分で交代します(あぁ、それはどうでもいいや、…いつまで心マしてればいいんだ、と試験官をチラ見すると黙っている。あぁ指示を出すのね…)。…静脈路があるので、アドレナリンを1mg静注するよう指示します。(ああ、20mlの生食で後押し、って言うの忘れた)で2分は心マを続けます。
D:はい、そしたらこうなりました。
―VFです。直ちに除細動します。
D:じゃぁ研修医が心マ引き継ぎますから除細動器の操作して下さい。
―2相性ですよね?(と確認してから)200Jにセットします。パッドを胸に当てて「充電してください」と指示して皆離れてくださいと言って放電します(実際にやる。熱量は大分低い状態にして)。ちらっと心電図波形確認して、また心マ再開してもらいます。
D:はい、ではこれで終了です。

***
ということで、文字に起こすと非常に長くなりましたが。

実技試験をまとめると以下のようになりました。
・坐位の血圧モニタリングの注意点(口頭で)
・坐位の空気塞栓時の対応(口頭で)
・TEEの適切なview選択問題(紙を見て6画像から2つ選ぶ)
・CVC(実技。右内頸静脈からエコー下で。但しエコーなしでもいいみたいでした)
・awake経鼻ファイバー挿管(実技)
・腹臥位への体位変換時の注意点(口頭で)
・脊髄損傷のautonomic hyperreflexia(口頭で)
・挿管された状態でのACLS(実技。ガイドライン2005か2010にするかは問われなかった)

***
ちなみに実技試験は、下のようなパタンもあったようです(教えてくださった方に感謝します)。

1.硬膜外麻酔
腹腔鏡下肝切除。気腹後に血圧上昇の原因。
実際の手技。

2.内頸静脈からのCVC留置
大動脈弁閉鎖不全兼狭窄症。この疾患になりやすい原因は?
心停止させる手順は?

3.体位変換後の心停止でACLS
基本的なACLS。しかししつこく、研修医と看護師が暇そうにしてるよ〜、とつっこまれました。

***

以下、試験全体について、イチ受験生としての意見を書いてみます。

・口頭試験
何を答えても、試験官のリアクションらしいリアクションはなく、また、誘導らしい誘導も皆無でした。「合格させてあげよう」という意思は全く感じられませんでした。
設問が2つしかないため、自分が苦手なものにあたってしまうと容赦なく落とされる印象をもちました。筆記試験対策は皆さん一生懸命されると思いますが、筆記試験よりも口頭試験の合格率が低い、という事実を受け止めて対策をする必要があると感じました。

・実技試験
「硬膜外麻酔をして下さい」とか「CVCを入れましょう」とか、実技実技、と細切れにされた設問形式の試験を想像していたので、ある程度の臨床ストーリーにのっかった問題形式に少なからず戸惑ったのですが、内容自体は至極普通だったと思います。質問量が多かったような気がしますが、それは逆に色々聞かれれば満点は取れないけれど、合格点には近づく可能性が高くなりそうです。
毎日研修医に説明しながら麻酔をされているドクタであれば、過去問の出題さえ抑えておけば問題ないと思います。

・筆記試験
矢張り過去問をしっかりとマスタしておくことが何よりも重要だったと思います。計算問題も捨てない方がいいでしょう。同じ問題が出たらラッキーと思えるくらいには解いたほうがよい。今年は過去問にある計算問題で、数字だけを変えた問題が複数出題されていました。また、B問題では50問中8問程度が計算して回答を出す出題となっていました。計算問題を全部ドブに捨てれば最高でも42/50問しか得点できません。計算問題以外の設問でしっかり得点できればよいですが、ちょっと捻られた問題ばかりで、受験中にどんどん絶望的な気分になってきます。そうなると、本来取れる筈だった問題ですら誤回答を選択してしまう可能性が出てきます。「過去問を何回解いても同じ問題間違えるよ」と思ってげんなりするかも知れませんが、本番では、その「何回も間違えた問題」が出る可能性が十分あります。だから過去問の答えを覚えておいて、本番では「あぁ、これは何回か間違えたな…。でも数字が変わってるぞ。ということは…」というくらいにするためには、直前の勉強だけでは(私の記憶力では)正解にたどり着けなかったと思います。

聴くところによると、1年前から試験勉強していた方もいたようです。ですが、本当にそれくらいやった方が賢明かもしれません。自分の精神的安定のために、かもしれませんが。試験前に大動脈解離とか臓器移植の麻酔を緊急でかけるようなことも、まま、あるでしょうから、試験直前の追い込みを過度に期待しないほうが賢明です。働きながら勉強しなくてはならない、ということを忘れない方がよいと考えます。
ネット上には麻酔科専門医試験が割と簡単に通る試験であるかのような文章も見られますが、それは優秀な頭脳の持ち主のコメントだと疑った方が良いです。また、合格した専門医の方々の話も聴くでしょうけれど(例:試験前1週間しか勉強しなかったよ)、それも信用しない方が良いです。いかに少ない勉強時間で合格するか、という話は、自慢話としては非常によいのですが、「何を勉強すればいいですか」と人に聞くようなレベルの人(つまり私ですが)には、得るものがありません。
少なくとも私は凡庸な脳しか持ち合わせていないので、かけた時間がそのまま試験の点数に反映されたのではないか…という感触を持っています。医師国家試験以降、一回も受験勉強していない方は、特に気をつけた方がよい試験だと思います。

という、私のような若干悲観的なコメントと、上記の賢い先生方の意見を、それぞれ自分のレベルに合わせて取り込んだ上で、受験するのがよいのではないでしょうか、と思います。

備考ですが、試験を受けるときの服装は、スーツ(ネクタイとジャケットも着用)の人が多かったです。私は心マをする時に邪魔だと思い、友人の助言に従って、スラックス+ワイシャツという、ノーネクタイ、ノージャケットのスタイルで行きました。それで試験官の心象が悪くなったようには思えませんでした。ただ受験前に待機する私語厳禁の軟禁部屋は少し寒いかも知れませんので、人によってはその対応をしたほうが良いと思いました。私は待機者の中では2グループ目に呼ばれたので、待ち時間はそれほどではありませんでしたが、もっと長く待つ場合もあるので、冷え性な方、沈黙に耐えられない方はその対策をした方が良いでしょう。

これで今回の試験について書きたいことは概ね書いたので、暫く(金輪際?)この話題には触れないことにしようと思います。

2011年10月15日土曜日

(音) 台湾の美声シンガーChyi YuとStratovariusのForever

たまには非メタルの曲について。

何故か今日、ふと思い出したのが、Chyi Yu(中国語で齊豫、Chyiが名字)という台湾の女性アーティスト。
このアーティストはStratovarius(ストラトヴァリウス)の有名バラード「Forever」(6th「Episode」収録)のカバーをしていることで知りました。以前はAmazonで、このカバー曲を買うことができなかったように記憶しているのですが、iTunes storeで購入できることに今日初めて気づき、嬉しくなりました。
Chyi Yuの曲は、YouTubeでForever以外のものも聴くことができるのですが、牧歌的で透き通ったものが多く、非常に好みです。今後聴いてみようと思います。

今回初めて知ったこと
・Chyi Yuのカヴァーバージョンは、韓国ドラマ「初恋」(ペ・ヨンジュン主演、1997年制作)の劇中に使用されていた 
→ 確かめる予定はありません
・Stratovariusの原曲バージョンは、90年代にTV東京で深夜に放送されていた「ギルガメッシュないと」のエンディング曲として使用されていた
→ こちらは番組が終了しているので確かめようがありません

2011年10月14日金曜日

(旅) Hot day in Dulles ~ダレスの熱い日~

家を出てから早19時間。

人生で25回目の飛行機搭乗だったのですが、離陸が60分程遅延。
…これは想像の範囲。

12時間飛行の後。
入国審査場で指紋を取られたのが、乗継便のboarding cut off timeの5分前。
Departure gateまで全力で走りましたとも。
……これも想像の範囲。

乗継便の出発ゲートに着いたら、まぁ人っ子1人いませんでした。
受付に独りいた、アラフィー(around 50)のダンディーなおじ様に伺ったら、「もう行っちゃったよ(in English)」
………これも想像の範囲。

サービスデスクに取って返し、救済のための新しいチケットを手に入れる。
幸い120分後の便に乗れると。
…………これはラッキー(最初、「今日の便はもう空席がないよ(in English)」と言われたので)。

安堵したところで$1.68のDiet Coke(small size)を汗だくのまま購入。
こんなとこまで来て、「sugar 0」にしなくても、よかったんじゃなかろうか。

2011年10月12日水曜日

(雑) 予演会終了

久しぶりに大学病院。
と言っても隣の建物ですが。
受診でも麻酔でもなく発表の予演会です。

緊張と睡眠不足で失神しそうになりましたが、何とかプレゼン(というよりもその後の猛攻・・・ではなく愛に溢れたありがたい指導)を終えることが出来ました。

終わりは始まり…ということで、本番に向けて詰めるべき箇所がボロボロボロボロ出てきました。会場に向かう飛行機内でやるべきことが沢山です。

2011年10月11日火曜日

(本) 暴力に逆らって書く - 大江健三郎 (朝日文庫、2006年)

言葉そのものの伝える力や、言葉の裏にある様々な心の葛藤が垣間見れるような文章が多い作品でした。特にスーザン・ソンタグとの、コソボ紛争を中心とした戦争についての往復書簡は考えさせられることが多い。
一見謙虚過ぎるスーザン・ソンタグの下のような言葉からは、自分が深くコミットしていない問題に対しては、注意深い発言をしたいものとの意を新たにしました。安直ですが。
言葉・文字で生きている人びとの、言葉を紡ぐときの思慮の深さに心からの敬意を払いたいと思った1冊。文字の力を信じている人程、文字にならない深い葛藤があるのは間違いない。

***
自分がそれまで知らなかったり、この目で見たことがなかったりする事柄については、けっしてどんな立場もとってはならないと。(中略)善意があっても思慮深くとも、直接の体験の具体性にとって代わることはけっしてできません。(中略)その地の人びとの歴史や地理もまったく見当もつかない人びとが、バルカン半島において十年も続いた恐ろしい事態をめぐり立場をとる。その多くがあまりにも私の予想通りの立場だったことに自分でもショックを受けたのです。どんな戦争地帯にも一度も近づいたことがなく、戦闘に与したり、爆撃のもとで生活したりするとはどんなことかこれっぽっちの考えもない。それがみえみえのアメリカやヨーロッパの知識人たちが尊大にもあの戦争について語るのを目にして、怒りを禁じえません。(中略)でも、独善的にならずに正しくあるにはどうすべきか。どうすれば「私」を放棄できるか。何であれ、自分はこのことなら知っているとの判断は、この「私」をとおして得るものではあるのですが。(スーザン・ソンタグp158-9)

2011年10月10日月曜日

(雑) 今そこにある壁

目の前に、自力では容易に登れそうにない壁があるとき、その壁に対してとれる行動は沢山あります。
何とかえっちらおっちら頑張って頑張って壁を登るのか、叩き壊す手段を考えるのか、そこまで頑張らずとも時間をかけてちょっとずつ削って壁が倒壊するのを待つのか。引き返すのか、大きな回り道をして壁の向こう側に行くのか、その場に居続けて誰かが壁を壊してくれるのを待つか、そこまで依存せずに誰かと手を取り合って一緒に壊すか。それとも壁があることに気付かないふりをするか。壁のこちら側で生活するのを是とするか。もっと登りやすそうな壁を探すか。

そもそも、壁の向こう側に行きたいと思わなければ、目の前の壁を疎ましく思うこともありません。壁の向こう側に行きたい=欲がある状態といえます。

だからこそ悩みます。しかし、壁が「かつて何処かで見たことのあるような壁」だったら、それを登った時の記憶を手繰り寄せればよいでしょう。ですが、これまで乗り越えたことのない、見たこともないような壁であれば、最適な壁の乗り越え方、なんて分かる筈もありません。最適な方法どころか本当に登ったほうがいいのかどうかもわかりません。「登り方マニュアル」をどこかで探しだしたとしても、そこには著者の想像力に基づいた、最大公約数のことしか書かれていないでしょう。人生は人それぞれ違うし、本を書けるほどの知の持ち主でも、想像力には限りがあります。ある人にとっては「誰かが壁を壊してくれるのを待つ」が正解かもしれないし、またある人にとっては「頑張って壁を登ってしまう」のが最適な答えになるかもしれません。

時間が無限にあったら様々な方法を「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤するのもよいでしょう。しかし、人生は有限なので、そう悠長なことも言ってられません。

問題は、自分が登ろうとしていた壁の高さを見誤っていたかもしれない、と確信に近い絶望にぶち当たってしまった場合です。遠くからは2m位にしか見えなかった壁が、目の前に立ったらてっぺんが見えないほどの高い壁だった。そんな場合です。そんな時には、誰かの力を借りたとしても登れるでしょうか。「ロケッティア」のクリフ・シーコードやヘリコプターなどの乗り物を使えば可能かもしれませんが、人力のみでは無理でしょう。

しかし世の中の多くのことは、リスクに応じたリターンがくることになっているようにも思います。ローリスクローリターン、ハイリスクハイリターン。宝くじのようにローリスクハイリターンを望むのは、娯楽としてはよいかもしれませんが、人生の本筋でそれをやるのは、私にはちょっと難があります。
メディアや映画、小説では「彼は大変だけどやめないで頑張って頑張って死に物狂いだった。その先に今の成功があった」というのは多いですが、実際には少ない。だからこそ、誰の耳にも心地よい「感動的なよいお話」になるわけですが。あぁ、でもリターンを考えてばかりの人生も嫌だ。

一向に要領をえない文章で大変恐縮ですが、書きながら思考がまとまってくるのを我慢強く待ってみました。

易きに流れるのを嫌悪していたのは誰だったか。
自分の関心の輪に集中せよ、をスローガンにしていたのは誰だったか。
最後の血の一滴まで絞り出す事を信念にしていたのは誰だったのか。
そして今の自分がそれらから遠く遠く遠く離れている事を、誰よりも認識しているのは、他ならぬ私自身だ。

道は自ずから決まっているようです。

2011年10月9日日曜日

(走) Training in Rena (其の百二十七)

10/9 10.0km, 62min 発表原稿を見てスピーチ練習しつつ
total distance: 895.4km (July 34.0km, August 17.0km, September 45.2km, October 10.0km)
total time: 5678min = 94h38m (since 7th, Feb, 2010 走り始めて10/9で610日目)

2011年10月8日土曜日

(雑) ヒトリカイリ

専門医認定試験が終わって数日たちました。すっかり寒くなりましたが、それとともにいつの間にか夏休みも遠い過去です。主に試験勉強で終了してしまいましたが。

大学院生+アルバイト麻酔科医の生活なので、働かないと死にます。そのため、夏休みの期間も仕事はあったわけですが、そこで何故か大動脈解離→全弓部置換術(TAR)の麻酔を明け方まで担当する…という貴重な体験をさせていただきました。1人でTARの麻酔を担当したのは初めてでした(非医療者の方に誤解されるとよろしくない、と思って書きますが、麻酔管理は別段問題なく終了しました)。問題集2冊持って行ったのに…。

でも、その緊急手術のお蔭で…という文脈は緊急手術の事態になった患者さんに大変失礼な言い方かもしれませんが…人工心肺からのウィーニング、ウィーニング後の輸血ポンピング、電解質補正、TEEでの心機能チェック。それらが1人でも何とかなるものなんだ(寧ろ大学で若い先生と一緒にやっていた時よりも、更に真剣に麻酔をやっている自分を発見しました。患者さんにとって自分という麻酔科医が最初で最後の安全弁であり、そして、自分自身にとっても、何かひとつ間違いを犯したとしても誰も補ってくれないという恐怖心がありますので、真剣なのは当たり前といえば当たり前なのですが)、ということが解った一夜でした。もっとも、安全に麻酔し得た最大の要因は、私の麻酔管理の巧拙よりも、注文した血液製剤がきちんときてくれたことと、患者さんの心肺腎機能が高齢の割に丈夫だったということの2点に尽きますが。
困ったことは以下の5点でしょうか。
心外で使う薬剤(ミルリノン、カルペリチド、ニコランジルなど)の場所がよう分からん、メーカの違うTEEだとボタン操作がよう分からん、腹減ったけど外に出られない、トイレに行きたいけどいつ行ったらいいんだろ、精根尽きたため当直翌日は活動性が極めて低下。

専門医試験が終わったからといって、麻酔管理が格段に巧くなる訳ではなく、「あぁ、なんでA-line入らないんだろ」とほんのり絶望する日々が続きます。

兎も角も、「~~先生流」とか「○○先生はここが巧いから真似しよう」とか「△△先生はこうやっていたけど、あれは何でなんだろう」といった上司同期後輩先生方の様々な様々な様々な実践を模倣し文献的根拠を渉猟する。そうして繰り返し積み上げた数年のものが全部、意識的無意識的に渾然一体となって今の麻酔科医としての私を形成しているのは間違いない。一人で麻酔していると、浅薄ながらも存在する麻酔科医としての積み重ねを忘れがちになりますが、ほかの麻酔科医から見たらどうなのか、外科医から見たらどうなのか、非医療者から見たらどうなのか、非日本人から見たらどうなのか、それを折に触れて点検する必要があると思いました。

「1人でやる方が気楽でいいじゃん」と思ったことは過去に幾度もありますが、私の場合、その感情は「何かあったら誰かに援護してもらえるだろう」という甘い空想に支えられていたのだと思います。「誰か」は助けてくれるのかも知れませんが、自分でしたことは自分で責任をもつ必要があるし「~~先生はこうやっていた」というセリフは、上手くいっているときはそれで良いんでしょうが、上手くいかなかったときに、第三者からの視線や批判に耐えうるのか、それを意識しなければいけない。「誰か」は助けてくれるのかも知れませんが、「誰か」は容赦無く攻撃してくる。その可能性を忘れてはいけない。

勿論、私の想像力には限界があるので、実践の段階においては、あくまでその想像力に限定された低い次元の改善になってしまうでしょう。ですが、問題意識がなくなった瞬間に、麻酔科医としての自分の成長はなくなる、ということを覚えていようと思いました。

2011年10月6日木曜日

(音) 人類最凶鋼鉄盤、CryptopsyのNone so Vile (Canada, 1996年)

3日続けてデスメタルです。別に強化週間でも嫌がらせでもありません。

Elisabetta Sirani作「Herodias With the Head of John the Baptist」の芸術的な生首ジャケットと裏腹な、もしくはそのまんまな強烈テクニカル・デスメタルアルバムです。バンドの2ndアルバム。この作品について今更私みたいなひよっこが何を付け加えることもなく、そして、デスメタルという肩書きも不要なクリプトプシーワールド全開な一作です。

そういえば、よく、「墓場に持っていきたいアルバム」っていうのを聞きますが、私ならその何作あるか分からない作品のうちの1作に本作を挙げます。ほら、アルバムジャケットも生首だしちょうどいいんじゃないでしょうか。

そういえば、よく、「俺の葬式にはこの曲を流してくれ」っていうのも聞きますが、私なら本作の「Phobophile」を流して欲しいです。大音量で。ですが無理でしょうね。ピアノのイントロは皆さん静かに聴いてくれるでしょうけど、0:34~あたりからなんかおかしいな~と思い始めて0:49~で怒髪天でしょうね。もし参列者に高齢のお婆様がいたらVFを起こすかも知れません。自分の葬式でACLSをしてもらいたくありませんし、ましてや死んでまで人様に迷惑を掛けたくありません。やっぱなしなし。それよりも自分が70,80歳まで生きるとして、その時もPhobophileを聴いているのでしょうか。それこそ謎です。髪はとっくに抜け果ててるでしょうから、スキンヘッドでヘッドバンキングするんでしょうか。環軸椎亜脱臼で四肢麻痺になりかねませんね。

そういえば、よく、手術室で音楽が流れていますが、このアルバムを聴きながら弓部置換術とかできる外科の先生っているんでしょうか。ABBAとかCarpentersとかThe BeatlesとかMozartとかなら分かりますが、この転調に転調を繰り返す複雑怪奇ヘドロ系デスメタルを聴きながら手術できる(しかも普段の1.5倍くらいの速さと巧さで)外科医に死ぬまでに一度でいいから会ってみたいです。あぁ、でも執刀医だけ好きでもダメだろうな…執刀医&前立ち&器械出し看護師&外回り看護師が全員このアルバムを気に入る(気に入らないにしても毛嫌いしない)確率なんて限りなくゼロに近い…。そして、もしそうだったとしても、それはそれで嫌だ。「ちょっと!!今の”Graves of the Fathers”の絶叫、聞き逃したからもう1回リピートしてよ!!」みたいな会話が日常的に行われる手術室ではやはり働きたくない気がします。矢張り、これは妄想にとどめておこう。

初めから脱線してしまいましたが、美麗なピアノのイントロから一気に阿鼻叫喚な奈落の底に叩き落される#6は、このアルバムの中で一番のハイライト、かつメタル史上に燦然と輝く名曲です。

本作品では一番長い#8。その最後も聞き流しちゃまずいです。

「go ahead and run! run home and cry to mama!」

というセリフはこれまたホラー映画のゴールデンタワー、「死霊のはらわた3」から取られております。サム・ライミ監督の「死霊のはらわた」好きにはたまらないのでありました。スパイダーマンシリーズだけでサム・ライミを知ったと思ってはいけません。サム・ライミといえば「死霊のはらわた」。

話がずれましたが、私的に名盤と考える理由は、デスメタルというものに殆ど免疫のなかった大学2年生の頃に、この作品に初めて出会い、そしてそのまま一度の拒絶反応もなく、今日まで折々に愛聴しているという事実、そして聴けば聴くほどその偉大さに心から敬服するからです。そしてまた、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムのそれぞれの音がよく分離されていて(そしてどの音も馬鹿でかく五月蝿い)非常に心地よい。ごもごもめにょめにょ、と絡みつくようにくぐもったサウンドというものもこのジャンルではよく見かけますが、本作はその対極で非常に自分好みなプロダクションになっています。まぁ楽器と声が分離されていても、ヴォーカルは「ヴォエェヴォヴォ、ヴォヴォォッォォォヲ、グァー」としか聴こえませんし、歌詞は全くナンセンスです。私は初期にこそ、何度か歌詞を見て、どこを歌っているのか追って見ましたが、一度として成功しなかったので、もうとっくに諦めました。Septicfleshが排水口ヴォイスだとしたら、こちらは下水道ヴォイスです。勿論褒めてます。

1. "Crown of Horns" – 3:57 2:55-のちょいギターソロがグッド
2. "Slit Your Guts" – 4:02 一般受けが最も期待できるポップデスソング。0:53-、3:05-のギターソロがグッド
3. "Graves of the Fathers" – 4:11
4. "Dead and Dripping" – 3:53
5. "Benedictine Convulsions" – 4:00
6. "Phobophile" – 4:38
7. "Lichmistress" – 2:31
8. "Orgiastic Disembowelment" – 4:51

当然全曲素晴らしいのですが、そんな中でも特に素敵なのが上記3曲。8曲あわせても全部で32:04しかありません。ですが、音が濃密過ぎて、聴き終えた時の疲労感、徒労感は恐らくその何倍もあるでしょう。デスメタル初心者は「俺の耳って意外にスゲーじゃん」と大いなる達成感とともに涙を流すでしょう。
このアルバムの音塊を、ただの雑音ではなく極めて高次元で整合性の取れた、美しいアンサンブルだと思える日がくれば、それはデスメタルへの大いなる入り口です。歌詞が聞き取れなくても、そもそも人の発する声なのかどうかが分からなくても伝わる感動、というものがここには確かに存在します。

「あぁ、歌って別に人間の言葉で歌わなくてもよかったんだ」

私が、デスメタルを聴き続ける理由の一つは、この作品の衝撃とレベルの高さを凌駕するものに、いつの日か出会えるかも知れない、という淡い期待感からかも知れません。いつか、徳永英明の「VOCALIST」シリーズで「Phobophile」がカバーされる日が来ることを夢見て、今日は終わります。

心臓が弱い人は要注意。

2011年10月5日水曜日

(音) 無慈悲でひんやりとした魔界 - Septicflesh の The Great Mass (Greece, 2011)

2日続けてデスメタルネタですが、ちゃんと大学院には行ってます。

ギリシャアテネのシンフォニック・デスメタルバンドのスタジオ8作目。活動期間は1990-2003、一度休止して2007年から活動再開。オケパートはチェコのプラハ・フィルハーモニックオーケストラのようです。Septicfleshを聴くのはこのアルバムが初めて。「敗血症のお肉」なんて麻酔科医が一度聴いたら忘れられないバンド名です。

アルバムジャケットからして禍々しく只ならぬ雰囲気ですが、内容も全くそれに引けをとらない強力なものになっています。
Stratovariusの「Destiny」のイントロのような美ソプラノヴォイスから、冷酷無慈悲な重金属サウンドにあっさり道を譲ってしまう#1で一気にSepticfleshの世界に引き込まれます。
オーケストラと共演しているので、近年のDimmu Borgirが好きなメタルファンにも取っつき易いところだと思いますが、といってもDimmu Borgirのようなポップさや色気はなく、オケもヴォーカルもリフも、ただただ冷たい音像になっています。ですが非常に聴きやすい。ミドルテンポ~やや速い曲が多く、それでも飽きのこない、聴かせる内容になっていますので、メロディが良いためだと思います。そして何といっても何といっても排水溝に吸い込まれていきそうな歪んだヴォーカルがたまりません。
全体的な音像としては、今夏、私が大いにハマったFleshgod Apocalypseの「The Agony」をパワーはそのままに、ちょっと禍々しくしてメリハリつけて暗~くしてみました、という感じでしょうか。
宗教曲のように荘厳なコーラスが眩しいドラマティックメタル#2は一番人気がでそう。初心者に優しい(つまりブラックメタルやデスメタルに何度かチャレンジしたけどその度に挫折するような私のような人間に優しいということ)取っつき易い正統派メタル寄りなのは#3, #7あたりでしょうか。オーケストラをフィーチャするバンドの曲は長尺になりがちなのですが、このアルバムは1曲1曲がコンパクトになっていて、アルバム通しても43:35ですので、そこも高評価。また、オーケストラ自体がメインになるわけでもなく、あくまでも曲を構成する一つの部品のように作用しているので、「俺はオーケストラじゃなくてメタルが聴きてぇんだよぉ」と宣(のたま)う方々にも大いにアピールしそうです。

1. "The Vampire from Nazareth" 4:08
2. "A Great Mass of Death" 4:46
3. "Pyramid God" 5:13
4. "Five-Pointed Star" 4:33 本作の中では疾走している方ですね
5. "Oceans of Grey" 5:11 女性ソプラノと排水溝ヴォイスとオケの絡みが絶妙。今のところ一番好き
6. "The Undead Keep Dreaming" 4:29 呪われそう。
7. "Rising" 3:16  一番ふつーのメタルっぽい曲。ギターリフにしても歌にしても。ちょっと浮いてるかも
8. "Apocalypse" 3:55
9. "Mad Architect" 3:36
10. "Therianthropy" 4:28  

全編通して時々顔を出すクリーンヴォーカルがX JapanのHIDEみたい…に聞こえるのはおそらく私の耳がおかしいせいでしょう。
1曲1曲が素晴らしく、色分けする意味は乏しいです。これといってスキップしたい曲も見当たらず、アルバムとして高評価したい。もっと日本でも売れてもよさそうです。たった1000円で覗ける魔界ワールドなのに。

また過去の作品に遡って聴かなくてはならない要チェックバンドが増えたのは嬉しいことなり。

2011年10月4日火曜日

(音) ぴろぴろギターの本気デスメタル~DeicideのThe Stench of Redemption (US, 2006)

はじめに断っておきますが、私はデスメタルやブラックメタルも聴きますが、悪魔崇拝者ではありません(と言ってもどちらのジャンルにおいてもまだヒヨっ子レベルなのですが)。

キリストを冒涜する歌詞ばかりを書き続け(このアルバムだって#2なんて曲名だけでキリスト教信者に刺されかねません)、ライブ会場は爆破テロにあったりもしているフロリダのデスメタルバンド、8作目のスタジオアルバム。はっきり言って殆どの人にとってはただの五月蝿い、本当に五月蝿いだけの爆音の雑音だと思います。ですが、ここに提示されている音楽はそもそも一般人を完全に無視しているだろう音楽なので、そんなことはどうでもいいんでしょうね。

大学生の頃に中古盤で手にとった彼らの2ndアルバム「Legion」(1992年)はGlen Bentonの地底の奥底から発せられる唸声のようなヴォーカルに「なんじゃこりゃー」と仰天し、私の体は全く受け付けず、「あぁ、やっぱりデスメタルって敷居が高いんだな…出なおしてこよ」と自分の音楽への姿勢を謙虚にするに十分な1作でした(Legionは今も実家のどこかで眠っている筈です)。

そんな2ndアルバム発表から経つこと14年。私も2ndアルバムを初めて聴いてから10年。本作は私の耳がおかしくなったのか、単に年をとったからなのか、アンチクライストな思想を抜きにしても、非常に魅力的で聴きやすいアルバムになっています。勿論、デスメタル、というジャンルの中で、ですが(そういう音楽に免疫がない状態で聴くと、ショック死するかも知れません)。私が聴きやすいと感じる理由は、相変わらず地を這うようなデスヴォイス全開の、超気合の入ったデスメタルでありながら(?)、歌(唸声?)の合間に極上のギターソロがたっぷり詰まっているからです。その意味ではArch Enemyなんかのファンにもっと聴かれてもいいように感じます。

#1は2:27- の極上ギターソロで胸を鷲掴みにされた後は、#3は3:03-の猪突猛進型激烈ソロや、へッドバンキングを誘発して止まない#4のドラミング。#4の2:22-、#6の1:32-&3:15-、#7の1:30-、#8の1:40-、等々、殆どの曲において御馳走のようなギターソロが封入されており、ほんっとうに冴えまくりの弾きまくり。デヴュー当時からのツインギターのHoffman兄弟(Eric Hoffman/ Brian Hoffman)に代わって加入したRalph Santolla(2005-2007年、2010年-)の影響が非常に大きいんだと思いますが、漆黒のヴォーカル&曲調に、非常にマッチしたギタープレイになっています。

このメロディックデスメタルファンの耳にも十分通用するギターソロを取っ掛かりとして、DEICIDEワールドに慣れていき、その勢いでHoffman兄弟の頃のアルバムに徐々に遡っていって、いつかゴリゴリギターでメロディ軽視のデスメタルも全部楽しめるようになればいいなぁ、と本気で思う日々。
…誰に強制される訳でもないのに、何で聴いてんのかな。

1. "The Stench of Redemption" 4:09 
2. "Death to Jesus" 3:53
3. "Desecration" 4:31
4. "Crucified for the Innocence" 4:35
5. "Walk with the Devil in Dreams You Behold" 4:58
6. "Homage for Satan" 3:59
7. "Not of This Earth" 3:19
8. "Never to Be Seen Again" 3:24
9. "The Lord's Sedition" 5:41

どれもいいのですが、今はやっぱり#1。

2011年10月3日月曜日

第50回専門医認定試験の結果、速報

筆記 457人 83.8%
口頭 460人 79.8%
実技 436人 90.4%
(数字は公開された受験者数)
第49回に比べて、口頭試験と実技試験の合格率が低下したようです。矢張り私個人の手応え同様、口頭試験が難しかったのですね。

因みに私は旅先からダンボールに荷物を詰めて自宅に送ってしまい、受験票もその中。微妙に覚えにくい番号だったため、速報を見ても合格しているのかよくわかりません、ということに速報を見て気づきました。荷物を受け取り次第、確認しようと思います。

全国の受験生の皆様、お疲れ様でした。

補足:結局、本年新しく麻酔科専門医に認定された人の割合は66.6%だったようです(学会Newsletterによると)。(2012年1月8日追記)

2011年10月2日日曜日

(雑) 古いお寺にただひとり


試験が終わってせいせいしたので京都にやって来ました。
これは東寺の五重塔。夜明け前で真っ暗でしたが。

東寺の御影堂は、弘法大師空海の住房だったところと言われていますが、毎朝6時から生身供という法要が行われています。私も参加してみたのですが、法要の参加者たちは熱心に熱心に読経していました。
読経の最後には、弘法大師空海が持ち帰ったと言われる「仏舎利」を僧が、法会の参加者の頭にお授けくださるのですが、私は、前に進み出る事も出来ず、座した場で、頭を垂れたまま。仏舎利を授けてもらうなんて畏れ多く、堪らず外に出てしまいました。

自分にはまだ無理だ…。

頭を垂れるだけじゃないか…。なぜそんなことができないのだろう。

2011年10月1日土曜日

(本) 老人と海 ― アーネスト・ヘミングウェイ (1952年)

読んだのは、福田恆存訳、新潮文庫版です。
小学生5,6年生頃だったと思うのですが、一度この本は買いました。ですが途中で脱落。
私にはそういう類の本が少なからずあるのですが、この作品もそのうちの一冊です。

ボロ舟ででっかいマカジキと格闘し、漸く捕まえて帰港中、今度は鮫に襲われ続け…港についた頃にはマカジキの頭、尻尾、骨格しか残っていなかった、でもそのマカジキは5.5mもあるどでかいものだった…。というお話は有名な話なのかも知れませんが、今回再読するまで、漁に出てマカジキと遭遇したあたりまでの記憶しか、私にはありませんでした。

・原書で読むと、英文の中に「無」だけが”nada”というスペイン語で表現されている。その”nada”という語感、言葉の響きが、虚無感を惻々と伝えてくる。《ヘミングウェイはこんなにも虚無思想に浸る一面を持っていたのか》―私はそう感じたばかりか、”nada”という発音の響きが年中耳でこだまするほど、長いことこの言葉の虜になった。 (もう一度読みたかった本、柳田邦男、p119)

という記載に遭遇したのが、今回再読するきっかけになったのですが、

・「うまい漁師はたくさんいるよ、えらい漁師だってたくさんいるよ、でも、お爺さんだけは特別だ」 p22
・「鳥ってやつはおれたちより辛い生活をおくっている、泥棒鳥はべつだがな、それにでかくて強いやつはべつだ。けれど、なんだって、海燕みたいな、ひよわで、きゃしゃな鳥を造ったんだろう、この残酷な海にさ?なるほど海はやさしくて、とてもきれいだ。だが、残酷にだってなれる、そうだ、急にそうなるんだ。それなのに、悲しい小さな声をたてながら、水をかすめて餌をあさりまわるあの小鳥たちは、あんまりひよわに造られすぎているというもんだ」p29
・あれ一匹で、ずいぶん大勢の人間の腹を肥やせるものなあ、とかれは思う。けれど、その人間たちにあいつを食う値打ちがあるだろうか?あるものか。もちろん、そんな値打ちはありゃしない。あの堂々としたふるまい、あの威厳、あいつを食う値打ちのある人間なんて、ひとりだっているものか。そう考えてくると、おれにはなんにもわからなくなる。まあ、太陽や月や星を殺さなくてもいいというのは、なんといってもありがたいことさ。海をたよりに暮らし、おれたちのほんとの兄弟だけを殺していれば、それでもうじゅうぶんだ。p85-6
・希望を捨てるなんて、馬鹿な話だ、そう彼は考える。それどころか、罪というものだ。いや、罪なんてことを考えちゃいけない。ほかに問題が山ほどある。それに、罪なんてことは、おれにはなんにもわかっちゃいないんだ。おれにはよくわからない、罪を信じているかどうかもはっきりしないんだ。たぶん罪なんだろう、魚を殺すってことは。たとえ自分が食うためでもあり、多くの人に食わせるためにやったとしても、罪は罪なんだろうな。でも、そうなれば、なんだって罪だ。罪なんてこと、考えちゃいけない。第一、もう手遅れだし、そういうことを考えるために、お金を頂戴している人間もたくさんいることだ。罪のことは、そういう連中に考えてもらったらいい。お前は漁師に生まれついたんだ。魚が魚に生まれてついてるようにな。p120

のような言葉に出会うことができ、そして訳も読みやすく、なんでこれを20年弱昔の自分には読了できていなかったのだろう…と不思議な気分になりました。恐らく読みきったとしていても、上記のような文章をスルーするばかりで、その他のいろんな文章も身に染みる程にはならなかったでしょう。今回偶然にも読了できたのはラッキーでしたが、もしかするとまだまだこの作品から得られなかった知恵や何かがいっぱい潜んでいそうなので、時間を置いて記憶の彼方になった頃に再度読んでみようと思います。と書いたことすら忘れた頃に。

(雑) ラベルをブログ右側に設置

なぜ置いてなかったのか不思議なのですが、ラベルを置いてみました。

麻酔科専門医試験の受験者の方に見ていただく機会もそれなりにあったようですので、右側のラベルをクリックすると、専門医関連の知識が取り出せるようになっております(そういえば口頭・実技試験のラベルも先日作ってみました)。もし使用に耐えうると判断されればご自由にお使い下さい。
当然ながら当ブログで提供できる情報は非常に限られておりますので、何らかの参考になればよいな…程度ではありますが。
といっても来年、再受験するような事態になったときに自分が少しでも楽なように…という布石です。そして再受験になるようであれば、もう少し記載の内容や精度が充実する筈ですが、そうなった場合には「あのブログみると落ちるぞ」という話にもなるかも知れないので、複雑な気持ちでもあります。