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2012年9月30日日曜日

(麻) 麻酔科専門医試験、自分の講演の際に利用した書籍

麻酔科専門医認定筆記試験を今日受験された先生方、本当にお疲れ様でした。大変難しい試験だったとお聞きしました。

今さらですし、受験生なら皆さんご存知のページでしょうが、後で自分がお世話になるかもしれないので貼っておきます。
研修医チャンネルの麻酔科専門医試験対策ページです。先日はじめて知りました。

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学会発表から1週間以上経ってしまったので、これ以上記憶が風化する前に、今回学術的な面(こちらは発表に際して100篇弱の原著論文、レヴュー論文にお世話になりました)以外で、発表に際してお世話になった本を羅列しておきます。すみませんが著者の敬称は省略させて頂きます。実務経験数年と浅いながらも、自分よりもその道に詳しい先生方が大勢いらっしゃるであろう場所において、何かしらの講演をする必要がある先生のお役に立てれば…と思い記載する次第です。

1.すごい説得力/太田龍樹/知的生き方文庫
2.発表の技法/諏訪邦夫/講談社ブルーバックス
3.論理的にプレゼンする技/平林純/サイエンス・アイ新書
4.理系のための口頭発表術/ロバート・R・H・アンホルト/講談社ブルーバックス
5.「ひとり会議」の教科書/山崎拓巳/サンクチュアリ出版
6.プロ講師になる方法/安宅仁、石田一廣/PHP研究所
7.人は誰でも講師になれる/中谷彰宏/日本経済新聞出版社
8.学生・研究者のための使える!PowerPointスライドデザイン/宮野公樹/化学同人

これらのうち、最も役に立ったのは4です。その次が8です。後は人それぞれ好みが分かれそうですが、2は一読の価値はあると確信します。私が麻酔科医だからかもしれませんが…。

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夏休みを終えるにあたり、学んだことを羅列しておきたいと思います。

・自分よりも素晴らしい才能をもっている人がたくさんいる。そしてその上絶対真似できないような努力を継続している人がたくさんいる(当たり前ですね)
・どんな人も想像力や気遣いは有限である
・素晴らしいものは確かに素晴らしいが、凡そ金額相応であり、私にはそれが心地よくないようだ
・水の中で体を動かすことは楽しいかもしれない
・もしかしたら自分の膝が快方に向かうかもしれない
・「モモ」は素晴らしい本だった
・「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」は興味深い本だった。多分大学生くらいが読むのが一番効能を期待できるだろうけれど、30過ぎの私でも発奮させられる内容だった
・ルソーの著作をもっと読んでみよう
・自分の居場所を客観的に認識して、自分が楽しめて、そして社会の役に立てる仕事を死ぬまでできることはきっとしあわせなことだろう

2012年9月29日土曜日

(麻) ICUでの肝機能障害

Anesthesiology:October 2012 - Volume 117 - Issue 4 - p 898–904

フリー記事です。勉強用に貼っておきます。

2012年9月24日月曜日

(本) 人間の土地 - サン=テグジュペリ (新潮文庫、堀口大學訳、平成10年改版)

人間の土地 (新潮文庫)amazon.co.jpより引用させていただきました。

1939年の作品です。漸く読了しました。
ずっと以前、大学卒業間近、若しくは研修医の頃に初めて購入。当時は数ページ読んでピンとこなかったので放り投げていた状態でした。その後読まなくなっていたので1度ブックオフへ旅に出し、その後それなりの時間を経てからブックオフで再度購入し、それがまた暫(しばら)く積読化していて、今回、遂に陽の目をみた・・・という私と「人間の土地」のそれなりに長い時間関係です。

結果:今回もあまりピンとこなかった。

ですが、何度かうたた寝しつつも最後まで読了できたことは収穫?です。「空のいけにえ」というタイトルで巻末に宮崎駿氏の文章が掲載されている事自体、今回はじめて知りました。本を読むより大切なことはこの世に数えきれないほどありますし、最初から最後まで読んだからといって何も得るものがない・・・それどころか「時間の無駄だった、ということがわかったのが一番の収穫だった」なんてことは、時々あります。そもそも読書によって何かを得ようなんて、そんな邪(よこしま)な考え自体が間違っているのかもしれません。
ピンとこなかった理由の1つには「郵便飛行士」というサン=テグジュペリの仕事自体についての理解が、私の頭では上手くできていないからかもしれません。「星の王子さま」や「夜間飛行」はわかりやすいストーリーがあるので、そのストーリー性に助けられて、何やら重大かもしれない大切なことがすっと心に入ってきていたのかも。(http://fragilemetalheart.blogspot.jp/2011/11/2010.html)
今の私にとって本書は、メッセージが伝わってきにくいものでした。訳文のせいかも・・・などと、自分の感性と想像力の限界を他人のせいにしてみたりもしたくなります。

44ページから引用。

 このときはじめて、ぼくらの邂逅は全(また)かったのだ。長い年月、人は肩を並べて同じ道を行くけれど、てんでに自前の沈黙の中に閉じこもったり、よしまた話はしあっても、それがなんの感激もない言葉だったりする。ところがいったん危険に直面する、するとたちまち、人はおたがいにしっかりと肩を組みあう。人は発見する。おたがいに発見する。おたがいにある一つの協同体の一員だと。他人の心を発見することによって、人は自らを豊富にする。人はなごやかに笑いながら、おたがいに顔を見あう。そのとき、人は似ている、海の広大なのに驚く解放された囚人に。

こんな状況、手術室で時々見かけませんか?
これに類した、愛着の湧きやすい文章を本書の中で10箇所くらいは見つけられましたが、今はこれが精一杯。
この本をもっと味わうためには、私がもっと成長する必要がありそうです。今度は売りに出さずに書棚の片隅に置いておこうと思います。

2012年9月22日土曜日

(麻) 最初(で最後?)の共催セミナー演者までの隘路~240daysを振り返って

あっという間の8ヶ月間でした。一応経過を記録しておきます。

1/26 講演の依頼を受ける。青天の霹靂。
1/27 上司のI先生とTさんに協力を要請、まず考える
2/6 過去の共催セミナーの資料をいただき研究。喋る分野の最近の論文チェックを開始する
2/10 困ったぞ、何だかろくなひらめきがないや・・・
2/11 医局長選挙の後、ランチをしながら再度、上司と相談。モニターや波形の原理、そう、原理的なこととかどうだろう。とI先生と相談する。T先生にも助言をいただきつつ(ご馳走様でした)
2/20 オペ室で上司と相談。いろいろディスカスしているうちにもっと論文読まなきゃダメってことを痛感。
3-4月末:色々な状況から身動きが取れなくなる。長い膠着状態に入る。
5月末~6月上旬:何とか論文数十編読んで、1000文字抄録を作成。
6月11日:抄録提出。4回ほどI先生とメールでやり取りして校正してもらう。大感謝。
7-8月:パート先で予定手術が終わったら発表の準備しよう・・・と毎回大量の文献とMacBook Proを持ち込むも、緊急手術多くて殆ど進まず。
8/30 Tさんたちとおおまかな方向性で打ち合わせ
9/1 I先生にPowerpoint送付して意見いただく。このあたりからオーラルの練習開始。
9/12 学内で予演。
9/19 最終的なスライドチェックをTさんと行う。え、もう3日後なんですけどもうひと直し必要ですか?
9/21 発表前日 会場入りしてホテルで只管最後の喋り練習。
9/22 発表終了。

発表自体が成功だったのかはよく分かりませんが、一仕事終えることが出来ました。それだけで奇跡です。

今日、改めて色々思いました。本当に多くの方々にお世話になっていることを。皆さん自分のやるべきことで大変な筈なのに気を遣って下さる。素晴らしいことです。
皆さん、ありがとうございました。

2012年9月16日日曜日

(雑) 学会準備~パソコン編その2

取り敢えず新しいパソコンを購入。安いのに「もうちょっと安くなりませんか^^;」とお聞きするとあっさり7000円(+ポイント10%)も引いてくれました。ちゃんと儲かってるんでしょうか。
電源入れてからいろんな作業ができるようになるまで1時間ちょっと。KingsoftのOfficeがプレインストールされていたので、
・ウイルス対策ソフト
・Google日本語入力
・Dropbox
だけダウンロードすれば私がしたいことは全て終了。Webの設定はイーモバイルであっという間なので楽ちん。

私が医学生だった頃に、これほどWebだけでも学習できる環境だったら良かったのになぁ、と思う今日です。

(雑) 学会準備〜パソコン編

6月末におかしなことになったLet's Noteがどう足掻(あが)いても直らないことが判明。それどころかもう、ブーンと立ち上がりそうになって色々頑張ってくれるのですが、デスクトップ画面に1時間待っても到達できません。いい加減見切りをつけて、学会用に新しいノートパソコンを購入することにしました。そういえば家のプリンタや掃除機も寿命のようで悲しい限りです。

学会会場へはUSBなどのメディア持ち込みでも良いようなのですが、パワポの文字の位置がずれたり、アニメーションが動かなくなったり、いろんな危険性があるとの先達の教えを素直に聞いての判断です。慣れている発表者であればパソコンでトラブってもそれなりに平静でいられるんでしょうけれど、私はまずムリ。

国産のは高いわりにスペックがイマイチな上に必要ないアプリケーションがいっぱいついてくるので外国産のパソコンにしようかと考え中。ノートパソコンが安く買える時代で本当に良かったなぁ。

学会直前に色々やることが多すぎて、明日のJSCVA日帰り計画は完全に諦めました。

2012年9月13日木曜日

(麻) 学会発表の準備

学会が迫っています。昨日は指導医のI先生に予演を聴いてもらい、スライド1枚ずつについてディスカッションしました。
自分が「ここの箇所はどうかな~?だいじょうぶかな~?」と思っていたスライドの殆ど全てと、自分では気付いていなかった、もっと改良したほうが良いであろう箇所を入念にチェックしていただく。毎日のようにスライドと向き合っていた自分よりも、短時間かつ的確にプレゼンの問題点を指摘してくださることに驚愕とともに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
自分としてはスライド自体はほぼ完成していたつもりだったのですが、まだまだブラッシュアップするべきところ、もっとわかりやすい説明の仕方、一言加えるといいところなど、知識として知っていた筈なのに実践できていなかったことの多くにメスを入れていただき重ねて感謝。貴重な100分間になりました。
あと少し。実験やら何やらがあって、色々と限られた中ではあるけれど、精一杯やってみよう。

2012年9月10日月曜日

(雑) 麻酔科医としての言葉遣いや態度

先日の日勤と当直で全麻と仙骨硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔と全麻、脊髄くも膜下麻酔と全麻、全麻、脊髄くも膜下麻酔と全麻、という組み合わせで計5件麻酔しました。途中大きな休み時間もなく大体14時間くらいは麻酔してたみたいです。夜中まとまって4時間くらい眠れたのはよかったのかな。
最近の自分の麻酔を振り返りますと、「ちょっと背骨の位置を確認しますね」とか「大丈夫ですよ〜」などと、語尾に「ね」や「よ〜」が多くなっていました。勿論そのような声かけを是とする患者さんもいる筈ですが、馬鹿にされているように感じる患者さんもいるでしょう。死にそうなくらいに具合が本当に悪ければ言葉遣いなんかどうでもよいかもしれませんが、予定手術を受ける患者さんに対しては、その患者さんの知的水準や要求しているコミュニケーションレベルをひとりひとりきちんと把握する。そして個人個人の生活史の中のおける今日のこの手術(と麻酔)を慮る。ということをさぼりつつあったのかもしれない自分をちょっと反省しました。面と向かって患者さんから何か苦言を呈されたわけではないのですが、呈された時には既に詰んでいるでしょうからね。小さなお子さんの点滴を2回も刺し直したことも反省したいと思います。吸入麻酔で眠った後の穿刺とはいえ痛み刺激は伝わっているでしょうし、穿刺に苦戦している間の患者さんの吸入麻酔暴露時間は無駄以外の何物でもありませんし。

また別の場面では、緊急手術の麻酔の説明時に誤嚥性肺炎や歯牙損傷の危険性を強調して説明している自分がいました。患者さんとその家族を安心させることこそが、インフォームドコンセントの大切な役割だったはずなのに。

医師としてのよくわからない惰性に絡め取られているかもしれない自分をちょっと客観的に見てみると、自分の医師としての一生懸命さとは関係のないところで何かを無くしつつあるのではないかという気がします。そしてそこにこそ医師としての一生懸命さよりも大事なものがあるのではないかと。それがポロポロこぼれているような、いないような。私はパートタイム麻酔科医ですが、だからこそ毎日麻酔をしている人よりも一生懸命やらないといけない。そんなことを思う最近であります。