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2013年11月3日日曜日

(旅) 秋の小トリップ其の五の2 (徳島県鳴門市と香川県さぬき市と土庄郡土庄町)

うたた寝の時も手に持つ遍路杖


という歌碑を発見しました。

思いがけず、四国お遍路巡り第一番の霊山寺(りょうぜんじ)からこの日はスタートしました。今回の旅はマンドリンのオーケストラを聴くことと、小豆島に行くこと以外は全く無計画でした。

ですが、徳島にお邪魔したからには

「まずは徳島 霊山寺 阿波踊りなんかしている暇ない」

と、「ももクロのニッポン万歳!」の歌詞(百田夏菜子のソロパート)にあります通り、朝九時前に霊山寺に伺いました。


私が着いた頃、霊山寺前の休憩所には紫色のももクロパーカを羽織った女性が1人いらっしゃって、朝も早くから珈琲を飲んでおりました。霊山寺の境内を散策している最中、その他にも何人か、前夜、ももクロのライブに参加したであろう男女を見ました。何故それが分かったかと申しますと、皆さん、赤や黄色や緑のパーカを羽織っていらっしゃったからです。因みに、私はそのパーカを持っていない上に、前夜のライブチケットに落選してしまったので、普通の出で立ちでありました。白い装束のお遍路の集団と、ももクロのファン(もののふ)と、それ以外の普通の観光集団と。大きく分けて3つのカテゴリーに分けられる人たちが霊山寺にはいらっしゃった気がします。

空海の懐の深さを、全く勝手ながら感じた参拝でした。



霊山寺には池がありまして、立派な鯉にも沢山出会いました。

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霊山寺(りょうぜんじ)から車で数分のところに道の駅があるのですが、徳島県鳴門市はベートーヴェンの第九が日本で初演されたところらしいです。何年か前の臨床麻酔学会で徳島にお邪魔した時も鳴門市を訪れたのですが、今回はじめて知りました。やっぱり、1回来ただけで「その街/町にはもう行ったよ〜」なんて言ってはいけませんね。行けば行くほど、どんなことでも新しく知る可能性があります。自分が住んでいて、毎日帰る街ですらそうですからね。

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霊山寺を満喫した後、どうしようかな…とぼんやり思っていたところ、
「お遍路参りの一番がここにあるなら、八十八番も近くにあるんじゃないか?」
と思いついて、地図をパラパラめくっていたところ…ありました。
大窪寺(おおくぼじ)です。
しかも、次なる目的地である小豆島がある香川県でした。その上、小豆島に渡るフェリーがある高松港へ向かう途中といえるような場所でした。これは行くしかありません。

ということで、何に導かれているのか分かりませんが、ナビに「おおくぼじ」と入力して、ナビのおっしゃるままに車を運転すること1時間ほど。


大窪寺(医王山遍照光院:いおうざんへんじょうこういん)は717−724年頃、行基が開基したお寺ということですが、少しばかり標高が高いところにあります。其の為、思いがけず紅葉に出会うことができました。


大窪寺の目の前に、何故かとても賑わっている茶屋(八十八庵:やそばあん)があり、看板メニューの「打ち込みうどん ¥800」を頂きました。食べきれないかと思われるくらいの結構な量でしたが、食べ物を残すとバチが当たると教わって生きてきたような気がしますし、周囲の熱気に援護射撃をいただきながら完食しました。


***
ということで思いがけず紅葉も満喫したところで、小豆島へレンタカーで渡りました。
当初、島でレンタカーを新たに借りるか、島ではバスなどを利用するかにしようと思っていたのですが、幸運にも旅に出る数日前に「小豆島で宿泊すれば復路の料金無料!」という情報をウェブで見つけたので、車ごと、島にお世話になることにしたのでした。車でフェリーに乗るのは人生で2回目なので緊張です。



フェリーに乗る頃には雨が降り出し、外の景色もよく見えません。水墨画のようです。



そんな感じで小豆島の坂手港(さかてこう)に到着。やまやまがもやもやしていていい雰囲気ではあったのですが、雨降りは雨降り。

***
雨が降ってはいたものの、ホテルにチェックインしてごろ寝や温泉…にはちょっと早すぎる時間だったので、ちょうど「エンジェルロード」が干潮のために歩ける時間帯だったので、車を30分ほど走らせて、日没前に、土庄町(とのしょうまち)に行ってみました。
これを逃すと次の干潮は翌朝の5時ころ…と言われれば行くしかありません。


この写真の左手に見える島までの、手前の砂の道が「エンジェルロード」らしいです。潮が引いている時にだけできる道らしいです。この写真では人っ子一人見えませんが、実際は小雨降る中沢山の人が歩いていました。写真を適当に撮りまくってホテルに戻ります。帰り道は真っ暗で、道路に面したお店も殆ど閉まっています。島ですし、観光地ですし当たり前なんでしょう。東京が異常なんです。


ちょうど今日まで瀬戸内海の島々で芸術祭の期間中でした。といっても小豆島に夕方入ったため、小豆島に展示されていた芸術祭の作品は殆ど見られずじまいでした。


ということで、道すがら立ち寄った本屋で偶然、いや全くの偶然ではないのですが、出会ったヘミングウェイやボードレールをぱらぱらと捲っているうちにどんどん夜が更けていきました。本を捲っている時、旅先に持ってきたiPod classicの中に小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ演奏によるベートーヴェンの第九が入っていることを思い出したので久しぶりに聴いてみました。


ボードレールの詩集「巴里の憂鬱」(新潮文庫版、三好達治訳)の中に

「酔え」

という詩が収められています。131頁です。たった1頁しかない詩なので、もし機会があれば読んでいただくといいかもしれませんが、その冒頭にこうあります。

常に酔っていなければならない。それこそは一切、それこそ唯一の問題である。

いや、そんなバカな、と思う方が、もしいらっしゃいましたら、続きを是非、お読みください。本書に収められている50篇の詩は、今の私には難解なものが多かったのですが、これはわりとすんなり楽しめました。ということでこの旅はもう少しだけ続きます。
(以上11月4日記す)